住血吸虫症は長い歴史を持つ感染症で、中国での流行は数千年に及ぶ。しかし住血吸虫症の診断は現在も、依然として伝統的な便中の虫卵検査を採用しており、その感度の不足が予防の重要な問題となっている。第二軍医大学の国家重点基礎研究発展計画(973計画)首席科学者の潘衛慶教授が率いる研究チームはこのほど、住血吸虫症の診断・治療技術の研究で画期的な進展を実現し、全ゲノム水準から住血吸虫症診断の目印となる分子を選別した。
世界トップクラスの学術誌「Lancet Infectious Diseases」(電子版)は学術著述という形式で、潘教授の研究チームの最新成果を発表。さらに、ジョンズホプキンス大学ブルームバーグ公衆衛生学部のクライフ・シーフ教授による「同研究チームは全ゲノム範囲から敏感な診断分子を選別し、住血吸虫症の検査技術を大幅に改善し、世界の住血吸虫症の流行の程度に対して全面的かつ客観的な評価を下した」との評論を付した。中国疾病予防コントロールセンター寄生虫病予防コントロール所の周暁農所長は、「同研究は、中国の住血吸虫症の抑制から根絶に向かう需要を巡り、住血吸虫症の選別の正確性および診断の感度の向上を積極的に促し、科学研究により予防の重要な技術問題を解決する模範となった」と評価した。
潘教授が率いる「マラリア・住血吸虫症予防の基礎研究チーム」には、同済大学医学院、江西省寄生虫病防治研究所、蘇州大学医学院、第二軍医大学熱帯衛生学部などの科学者が含まれ、全ゲノム水準から住血吸虫症診断の目印となる分子を選別した。同チームはまず融合分泌タンパク高流動選別の技術プラットフォームを構築し、さらにゲノム範囲から診断の目印となる分子を大規模選別し、200種以上の住血吸虫症分泌タンパク質から診断価値を持つ分子(SjSP-13)を選び出した。これにより診断の感度は、従来の方法の6倍に改善された。
潘教授は、「中国の住血吸虫症予防の全体方針は、感染源の抑制を中心とする総合予防方針だ。感染源を抑制する重要な手段は、迅速かつ正確に感染者を発見し、すべての感染者に効果的な治療を施すことだ。現在の住血吸虫症の流行の特徴は、軽度感染が中心となっている。軽度感染者の診断には感度の高い技術が必要であり、ゆえに診断分子『SjSP-13』の発見は、既存の診断技術の感度の不足という根本的な問題を解決した。同分子の活用は、住血吸虫症の全体的な予防方針の推進に対して、重要な技術支援を提供し、中国の住血吸虫症の予防・根絶に積極的な影響をもたらすだろう」と説明した。(編集YF)
「人民網日本語版」2014年3月27日