迷える資金を実体経済へ 金融ストックの活用を
資金が実体経済へ回らなければ、貸出をさらに緩和したとしても、増加した資金が経済成長を推進する作用には限界が生じることになる。「人民日報」が伝えた。
現在、中国の金融運営で最も目立った問題は流動性が全体として過剰であり、構造がバランスを失っていることで、経済成長を後押しする貸出残高の限界効率は低下を続けている。関連の試算によると、2012年の広義マネーサプライ(M2)は同年の国内総生産(GDP)の約1.9倍に上ったが、米国ではこの割合は0.9倍、ユーロ圏では0.9倍、日本では1.5倍だった。流動性の総量が過剰でありながら、金融資源の配置が不適切で、大量の通貨が金融システムの中で空回りし、実体経済を後押しする有効な資本となり得ていない。大量の資金が各種の金融資産、不動産、基礎資源を追い求め、資産価格の急速な上昇をもたらし、市場では無計画な投機行為がはびこり、バブル経済化の傾向に拍車がかかっている。
これと同時に、中小企業は資金調達が難しく、資金調達のコストがかかり過ぎていながら、貸出を増やすことでこの問題が効果的に緩和される、ということはない。中華全国工商業連合会が発表したデータによると、中国企業の95%を占める小規模・ミクロ型企業は金融機関から資金を借りたことがない。大量の資金が生産能力の過剰な低効率の産業や不動産業に流れ込むことによる強烈な反動として、技術集約型産業とイノベーション型ハイテク産業が必要な資金を十分に得られないでいる。
こうした構造的な矛盾に直面して、貸出をさらに緩和しても、それによって増加した資金の経済成長を牽引するはたらきには依然として限界がある。金融システムのリスクを増大させる可能性さえある。
国務院の李克強総理はわずか1カ月ほどの間に3回にわたって「ストックの活用」に言及した。ここから政策決定層が経済成長ペースの許容度を引き上げると同時に、貸出の放出を増やして経済成長を刺激する「粗放型」の発展モデルの採用に慎重であり、金融市場内部の調整によって金融効率を引き上げる必要があることを強調していることがわかる。
金融資源のストックを活用して実体経済を活性化させるには、金融産業へ参入のハードルを引き下げることがカギであり、実体経済が利益を得る可能性を広げることが根本にある。