中国のM2が100兆元台に、インフレの懸念は?
中央銀行(中国人民銀行)のデータによると、中国のマネーサプライM2残高は3月末時点で初めて100兆元の大台を突破し、103兆6100億元に達した。昨年末時点の中国のM2残高は97兆4200億元で、世界一となった。この金額は世界全体のマネーサプライの4分の1を占め、米国の1.5倍、英国の4.9倍、日本の1.7倍に達し、ユーロ圏全体をさらに20兆元余り上回る。M2残高世界一は、中国が世界一の金持ちであることを意味するのだろうか。中央銀行主導の「貨幣超過発行」が存在するのだろうか。人民日報海外版が伝えた。
大量のM2により、インフレや住宅価格高騰が誘発される可能性はないだろうか。
◆中国が世界一の金持ち?
中国のマネーサプライ「ファミリー」には、M0、M1、M2の「三兄弟」が含まれる。
M0は流通している現金貨幣を指し、随時支払いが可能で、流動性が最も高い。M1は「狭義貨幣」とも呼ばれ、M0に要求払預金を加えたものだ。要求払預金は現金化が容易なため、M1の流動性は現金よりやや劣るが、一国の経済における実質的な購買力を示す。M2は「広義貨幣」とも呼ばれ、M1に企業・事業単位の定期預金、住民の貯蓄預金残高などを加えたものだ。企業・事業単位の定期預金、住民の貯蓄預金残高などは直接的な現金化が不可能だが、一定の時間と手続きにより実質的な購買力に変化するため、M2は比較的活発な需要と、潜在的な需要を反映する。
中国交通銀行の連平チーフエコノミストは、「M2が世界一だからといって、中国が世界一金持ちというわけではない。中国の住民の貯蓄率は世界トップクラスの52%に達し、米欧などの先進国を大きく上回り、アジアの平均水準も上回っている。また中国は間接融資(銀行信用貸付が直接もたらす銀行預金)の比率が高い。この二つの要素により中国の銀行預金が多く、M2が膨らんでいる」と指摘した。
中国の2012年のM2残高はGDPを45兆4900億元上回り、対GDP比が188%に達した。一部の人は、中国のM2が40兆元以上超過発行されたことにより、深刻なインフレと資産バブルが生じると懸念した。