金に困っていなかった中国が資金不足に陥った訳は?
中国は6月、貸出の財源不足に陥った。これをどうみるか。どのような影響があるか。米国が量的緩和政策を徐々に引き上げるであろうことと関係があるのかどうか。世界の二大経済強国である中国と米国の一挙一動に、世界が極めて高い関心を寄せている。(文:石建勲・本紙特約論説員、同済大学財経研究所所長、同経済・管理学院教授。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
最近、中国の金融市場では資金不足の問題が激化している。6月20日のデータによると、上海市場の銀行間取引金利は全面的に上昇傾向を示し、13.44%という驚くべき数字に達し、過去最高を更新した。銀行間市場で資金が不足すると同時に、上海と深センの株式市場は全面安となり、投資家は手持ちの資産を相次いで目減りさせ、株式市場からの資金流出が目立って増加した。債権市場も資金不足の苦境に陥り、先週には農業発展の債権の入札が流れたのに続き、新規発行の9カ月もの国債も同じ轍を踏んだ。
中国は本当に流動性が不足する資金不足に陥ったのだろうか。答えは「否」である。2週間前に中国人民銀行(中央銀行)が発表した統計データによれば、5月の広義マネーサプライ(M2)の前年同月比増加率は依然15.8%と高く、貸出の新規増加額は引き続き高い水準にある。人民元建て預金の残高も100兆元の大台に迫り、1-5月に行われた貸出の規模は9兆1100億元に上って前年同期を3兆1200億元上回った。実際のところ、通貨供給量にはゆとりがあり、多くの機関や個人が引き続き潤沢な資金によって銀行の資産管理商品や信託商品を大量に購入しており、不動産市場には活気があり、不動産価格は高い水準を保っている。ホットマネーは争って金を買い、塩漬けになりながら、積極的に投資機会を虎視眈々とうかがっている。民間の貸出にも依然活気がある。こうしたデータや状況からわかることは、中国は資金に困っていないということだ。
資金に困っていない中国が資金不足に陥ったのはなぜか。現在の流動性危機は、表面的には銀行が四半期末の監査の時期に入り、資金に対する需要が大きくなり、各銀行が貸出を控えていることと関係がある。また監督管理部門が資産管理商品や国境を越えた鞘取引に対する監督管理を強化したため、各銀行が資金を増やして規定の要求に対応しようとしたこともある。だが根本的には、ここ数年の金融システムの発展と運営管理体制が実体経済の発展ニーズから大きくずれてしまったことが原因として挙げられる。国が経済成長を喚起するために注入した資金は、実際には実体経済に回ることはなく、大量の資金は金融システムの内部を動き回って利ざやを稼ぎ、レバレッジ投資や満期のギャップを通じて絶えず利益を求め、資金は金融機関の間を何度も往復して利益を獲得している。これだけでなく、スケールメリットを備えた国有企業や資金集めに非常に熱心な一連の上場企業は、低いコストで資金を獲得することが容易であり、委託貸付などの方法で利ざやを稼ぐことができ、これにより資金の重複計算が生じ、社会全体の貸出額が見かけ上増加することになる。ここからわかることは、現在の資金不足は通貨政策の引き締めによって起きたものではなく、過去数年間の金融システムが国内外の通貨緩和という政策的環境によりかかり、実体経済から離れて無計画に発展し、過度に膨張した金融資産が一時に集中的に爆発したために発生したものだといえる。