顕在化し続ける世界金融危機の深いレベルの影響
世界経済のリバランスは長期的プロセス 世界金融危機は発生から5年間で、世界経済・金融に甚大な打撃を与えた。国内外の専門家は人民日報の取材に「関係国が打ち出した財政、金融政策によって危機はある程度緩和されたが、その悪影響は徐々に顕在化している。世界の経済・金融構造は深いレベルの調整が進んでおり、強く重視する必要がある」との見解を示した。
■危機の影響を受けない国はない
中国社会科学院アジア太平洋・グローバル戦略研究院の李向陽院長は「影響の程度と範囲から見て、今回の危機は過去100年で最も深刻なものだ。仮想経済も実体経済も免れることはできず、特に先進国経済の中核である金融業は最大の打撃を被った。また、経済グローバル化の下で各国の経済は相互依存を強めており、危機の外に身を置くことのできる国はない。このため経済回復は緩慢なプロセスとなることが決定づけられている」と指摘した。
シンガポールのターマン副首相兼財務相、国際通貨金融委員会(IMFC)議長は「金融危機は単なる銀行と公共部門の財務危機ではなく、社会的、政治的危機でもある。最も厳しい問題は雇用だ。先進国には長期間無職の層が出現し、新興国と途上国も大量の若者のための雇用創出という試練に直面している」と指摘した。
米国の経済分析・諮問機関「IHS Global Insight」のアジア太平洋地区チーフエコノミスト、Rajiv Biswas氏は「EU諸国は打撃を被った銀行の救済措置を講じたために、国の債務の膨張を招いた。EU諸国の経済回復が始まるのは緊縮財政を何年も続け、債務水準が下がってからだ。アジア諸国は先進国経済の疲弊の影響で外需が低迷し、輸出の弱含みが長期化して、経済成長は厳しい外的試練に直面する」と指摘した。
■危機の後遺症で各国のマクロ管理は難しさを増す