中国産アニメ映画、ハリウッドと大きな開き 鍵は「忍耐力」
「風声」(09)などで知られる中国の著名映画監督・高郡書(ガオ・チュンシュ)はこのほど、ドリームワークスの新作アニメ映画「ザ・クルーズ」(中国名:瘋狂原始人)を見終えて、「5回以上見る価値のある映画」と絶賛し、同時に中国映画の力不足を指摘した。この評価に対し、ネットユーザーは激しく反応。中国アニメ映画の状況との隔たりを嘆き、「中国には何が欠けているのか?」と熱い議論を繰り広げている。「華商報」が伝えた。
■「ザ・クルーズ」に高い評価 口コミにより興収も増加
ドリームワークスが今年打ち出した新作オリジナルアニメ映画「ザ・クルーズ」は、「カンフーパンダ」のような派手な中国カンフーも、「トランスフォーマー」のような最新のハイテク技術も見られない。これ以上の原始人はいないというほどの原始的な人物と情景が、勇気と愛をテーマに描かれるシンプルなものだが、公開後、「面白い」という評判の口コミが広がっている。
中国のシネコン「奥斯●国際影城」の関係者は25日に、「観客の反応は非常に良い。過去に成功例がない作品だったが、口コミが広がり、公開後数日間、興収は右肩上がりで伸びている」と語った。
■中国アニメ映画界に欠けているものは「忍耐力」
ドリームワークスの最高経営責任者(CEO)ジェフリー・カッツェンバーグ氏はかつて取材に応じた際、中国のアニメ映画界について、「現在欠けているものは我慢強さだ。中国のアニメ業界人はすぐに成果を得ようとしたがる人が多い。いいアニメを作ろうと思うと、良いアイデアが必要だが、それ以上に忍耐力が必要とされる。『ザ・クルーズ』は8年もの準備期間を要して製作された。まずストーリー作りに多くの時間が費やされ、ポストプロダクションはより念入りに手をかけた」と語っている。中国のアニメ・ディレクター黎貫宇氏は「中国でアニメを制作する際に欠けているのはアイデアや技術ではない。外国の多くのアニメ映画も中国で加工されている。李安(アン・リー)監督の『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』のような映画も実は人が演じている成熟したアニメ映画といえる。我々も自分たちの誠意を示して、地道にアニメ映画を作っていくだけだ」と語る。