「安倍ドクトリン」をASEANに売り込む日本 (2)
東南アジア市場の育成を図る ■新市場の開拓にも難しさが
経済の立て直しを最優先改題とする安倍氏は、アジア経済圏から日本経済の再生にプラスの要素を導くべく「成長を続けるアジア経済圏に融け込む」ことを提唱し、戦略的経済外交を展開する方針を打ち出している。ここ1年近く、日本企業は中日間の島嶼紛争の影響で投資先を相次いで変更。ベトナム、タイ、カンボジア、インドネシアなど大きな潜在的経済成長力を持つASEAN諸国への投資を強化している。また、経済協力とインフラ輸出を促進して、企業の海外進出を後押しするため、安倍氏は今回の外遊で各国首脳と協力拡大を確認すると見られる。
安倍氏就任後間もなく、麻生太郎副首相がミャンマーに駆けつけ、準備的行動によってまず反応を探った。麻生氏はヤンゴン近郊のティラワ経済特区を視察し、ミャンマーへの投資に強い関心を示し、円借款500億円の供与を表明した。
だが厖氏はミャンマーなどASEAN諸国への大規模投資を望む日本企業は多くの困難、さらに予測困難な要素にも直面すると指摘する。
厖氏は「外国企業の投資先になるには、一般的に2つの基本条件が必要だ。第1に安定した政府、良好な社会治安、整った法治。第2に十分な経済インフラ、安い人件費、十分な労働力、大きな潜在力を持つ市場だ。この2つの条件を完全に満たす国はASEAN諸国の中にはほとんどない」と指摘する。