国際高速鉄道の全体構想図 |
タイから東欧、さらにはアフリカにいたるまで、中国国務院の李克強総理は、外遊すれば必ず、訪問先国での高速鉄道の売り込みに余念がない。李総理は5日、中国が資金援助を行って建設されたアフリカ聨合会議センターにおいてスピーチを行い、アフリカ諸国の指導者を前に、「高度な技術」「万全の運営方式」「品質はお墨付き」「高いコストパフォーマンス」「国際市場からの高い評価」という5大優位性を列挙、中国高速鉄道の素晴らしさを大いにアピールした。京華時報が伝えた。
国家トップクラスの「高速鉄道セールスマン」の役割を担う李総理の背後には、5年にわたり推進されてきた中国の高速鉄道「海外進出」戦略がある。
中国高速鉄道「海外進出」戦略は、「新疆ウイグル自治区を起点に南側のルートから欧州に達する大陸間高速鉄道の敷設」「東北地方を起点に北側のルートから欧州に達する大陸間高速鉄道の敷設」「昆明を起点に東南アジア諸国を貫きシンガポールに直接つながる高速道路の敷設」の三本柱で構成されている。中国政府は、さらなる長期計画として、ロシア、カナダ、米国と協力して、ベーリング海峡を跨いで総距離1万キロメートル以上に及ぶ、アジア大陸と北米大陸を結ぶ高速鉄道の敷設を計画している。
中国工学院院士で鉄道専門家として有名な王夢恕氏は7日、これら国際高速鉄道の敷設計画進展状況について、次の通り説明した。
○計画進展状況:欧亜(欧州―アジア)高速鉄道と中亜(中国―アジア)高速鉄道は計画協議中、汎亜(汎アジア)高速鉄道は6月着工予定
汎亜高速鉄道は今年6月の着工を予定している。雲南省西部の鑽山にミャンマーとつながる全長約30キロメートルのトンネルを建設、ミャンマーを経てタイに至る。もう1本の幹線は、ラオス、ベトナム、マレーシアを経由してシンガポールに到る鉄道だ。同高速鉄道は、中国と東南アジア諸国をより速く結ぶルートとなる。
現時点で、欧亜高速鉄道と中亜高速鉄道の国内区間は、すでに着工あるいは着工準備が進められており、国際区間については、関係各国と協議を行っている段階だ。
○協力方式:高速鉄道建設の技術関連資金は中国が負担、鉄道建設と引き換えに資源獲得
国際高速鉄道の建設においては、「中国が資金、技術、設備を投入して建設する。完成後、経由国が運営に参加する」という大原則がある。このプロセスにおいて、中国は関係国と協議し、高速鉄道の建設事業と引き換えに現地の資源を獲得する。中央アジアや欧州の石油や天然ガス、ミャンマーのカリウム鉱などが一例で、これにより長期的な協力体制を確立し、中国の資源確保をより確実なものとする。
現在計画中のいくつかの国際高速鉄道はいずれも、上述のコンセプトに基づいて協議や建設が進められている。「技術と資源の交換」というやり方によって、中国と周辺諸国との関係強化が促進され、各国間の貿易往来にさらなる便宜が図られる。また、中国国内の希少資源の輸入が確約され、よりスムーズに石油や天然ガスが確保できるようになる。