(2)財政・租税・金融改革はさらに推進された。交通運輸業と一部の現代サービス業で行われている営業税から付加価値税への切り替えの試行作業を全国に広げて、企業の年間税負担を1400億元以上軽減した。小企業・零細企業の付加価値税と営業税の課税最低ラインを引き上げて、600万社以上の企業に実益をもたらした。貸付金利に対する規制を全面的に撤廃した。中小企業株式譲渡システム(National Equities Exchange and Quotations、「北京証券取引所」とも呼ばれる)の試行範囲を全国に広げた。信用資産証券化のテスト作業を拡大した。新株発行システムの改革や、中小投資家の利権保護の強化などに関する指導的意見を公布した。企業債券の種類とその審査・許認可方式を刷新した。
(3)投資体制改革は積極的な進展を見せた。「政府認可投資項目目録」を新たに改定したことにより、中央指導層の審査・許認可を必要とする企業の投資プロジェクトは60%減少した。中央予算枠内の投資を対象とした補助・利子補給の管理方法を改善した。カバー範囲が広いうえに数が多く、投資額も少ない31種の補助・利子補給を行う中央予算枠内の投資プロジェクトに対する審査・許認可の権限を下級行政機関に委譲した。鉄道投融資体制改革にいっそう力を入れて取り組んだ。民間投資の奨励・誘導に関する三十六ヵ条規定および42件の実施細則の実施状況に対する第三者評価を行い、民間投資の健全な発展を奨励する政策・措置を引き続き貫徹・実施し、さらに充実させた。
(4)資源関連製品の価格形成メカニズムが絶えず整備された。精製油の新たな価格形成メカニズムを確立し、精製油の品質向上に向けた価格政策を策定した。また、非民生用天然ガスのシティゲート価格を調整し、再生可能エネルギーによる発電の電力価格附加基準と環境保全にプラスとなる電気料金基準を引き上げたほか、原子力発電、水力発電、太陽光発電の固定価格買取制度(Feed-in Tariff)を完全なものにし、発電用石炭価格の一本化を首尾よく実現した。
(5)農村改革は積極的に推し進められた。全国の農村土地集団所有権の登録と使用証明書の発行手続きはほぼ完了し、農村土地請負経営権の登録の試行作業を105の県(市、区)に広げた。国営林場改革を7つの省で試験的に行った。
(6)社会分野の改革は着実に進められた。「所得分配制度改革の深化に関する若干の意見」を公布、実施した。28の省(自治区・直轄市)で都市・農村住民の重大疾患保険の試行作業がスタートし、県レベルの公立病院総合改革のモデルケースが1000院以上に上った。時事・政治以外の新聞・雑誌を扱う出版関連機関の企業化を目指した試行作業の前の二期がほぼ完了した。食品・医薬品監督・管理体制をさらに充実させた。
それと同時に、国有企業と重点業種の改革を引き続き深化させ、黒竜江省「二つの平原(松花江・嫩江平原と黒竜江・松花江・ウスリー江平原)」において現代農業総合・複合改革のテスト作業をスタートさせるとともに、11の国家複合改革テスト区(「新特区」事業)に対する第三者評価と自己評価を行った。
対外開放を引き続き深化させた。対外貿易輸出入総額の伸び率は7.6%で、前年度比1.4ポイント上昇した。非金融分野における外資直接投資額は通年で5.3%増の1176億ドルとなった。そのうち、サービス業の外資実質利用額が全体に占める割合は初めて50%を超えた。中・西部地区への外商投資の階段式移転が加速している。非金融分野における対外直接投資額は16.8%増の902億ドルに上った。中国(上海)自由貿易試験区を設立し、その運営を開始した。世界貿易機関(WTO)ドーハ・ラウンド交渉における「アーリーハーベスト」(Early Harvest)が合意に達するよう努め、アイスランド、スイスと自由貿易協定に調印したほか、「シルクロード経済ベルト」や「21世紀・海のシルクロード」の戦略的構想を積極的に実施し、「バングラデシュ・中国・インド・ミャンマー経済回廊」、「中国・パキスタン経済回廊」の建設をバランスよく推し進めた。