南中国海問題打開の3つの道筋 (2)
海上協力の推進は大きな取り組みだ。海上協力は南中国海の領有権主張国に限定されない。中国とASEAN諸国との首脳会談では、海上協力の強化がしばしば重要な話題となる。中国指導者はASEAN諸国との海上協力を強化し、中国政府の設立した中国・ASEAN海上協力基金を活用し、海域協力パートナーシップをしっかりと発展させ、21世紀の「海のシルクロード」を共同で建設する意向を表明している。先日発表された双方の「中国・ASEAN戦略的パートナーシップ構築10周年記念共同声明」は、海上協力の強化を明記している。中国とASEAN諸国の海洋協力には大きな潜在力があり、双方は海洋経済、海上のコネクティビティ、海洋環境保護、海上捜索・救難、港湾都市協力ネットワーク、防災・減災・人材育成分野などで協力できる。
この3つの道筋は中国の外交戦略と一致する。中国は平和的発展、協力・ウィンウィンという新外交理念を遂行している。中国は主権の維持を堅持すると同時に、実務的で柔軟な善意ある姿勢も堅持している。中国は直接の当時国間の協議・交渉による解決の方針を堅持すると同時に、多国間ルートを通じて地域協力と南中国海問題の最終的解決のために前向きな雰囲気、平和的環境、有利な環境を築くことも望んでいる。
この3つの道筋は中国とASEANの共通利益に合致する。中国指導者の今回の東南アジア歴訪で、双方は中国・ASEAN関係発展の広大な展望と明確なロードマップを描き出した。南中国海の平和・安定の共同維持は、中国とASEANの全体的利益を力強く促進する。南中国海の共同開発は誰が損するかという問題ではない。共同開発と海上協力を通じて、互恵・ウィンウィンを実現できる。その意義は経済的利益に限定されず、地域の平和と安定の大局にとっても広範な政治的、戦略的意義を持つ。