国防白書:中国の武装力の多様な運用 (3)
--中華人民共和国国務院新聞弁公室 2013年4月 一、新たな形勢、新たな挑戦、新たな使命
21世紀に入り、世界には深刻かつ複雑な変化が生じているが、平和と発展が時代のテーマであることに変わりはない。経済のグローバル化、世界の多極化がすみずみまで広がり、文化の多様化、社会の情報化がさらに進み、国際的なパワーバランスは世界の平和維持に有利な方向に向かい、国際情勢は総体として平和、安定という基本的な態勢を保っている。と同時に、世界は依然として不安定でもあり、覇権主義、強権政治、新たな干渉主義などが台頭しており、局地的な情勢不安やホットスポットをめぐる衝突が絶えない。伝統的脅威、および非伝統的脅威が混在して相互に作用しあい、国際軍事分野での競争はさらに激化してきており、国際安全保障問題における突発性、相互関連性、総合性が顕在化してきた。アジア太平洋地域がますます世界の経済発展と大国の戦略ゲームの重要な舞台となり、米国がアジア太平洋地域の安全保障戦略を調整することにより、地域的枠組みが大きく変化している。
中国は発展の貴重な戦略的チャンスの時期をしっかりとらえて活かし、現代化建設でめざましい成果をあげ、総合国力が大幅に躍進し、人民の生活は明らかに改善し、社会の大局は安定を保ち、両岸関係は引き続き平和的発展の勢いを呈し、国際競争力と影響力は絶えず向上している。とはいえ、中国は依然として多元的で複雑な安全上の脅威と挑戦に直面しており、生存のための安全保障と発展のための安全保障、伝統的脅威と非伝統的脅威が相互にからまりあう中で、国家の統一を守り、領土を保全し、発展の利益を守ることはきわめて困難で重い任務である。一部の国はアジア太平洋地域での軍事同盟を深化し、軍事プレゼンスを拡大し、しばしば地域の緊張状態をつくり出している。一部の隣国は中国の領土主権や海洋権益にかかわる問題で、それを複雑化、拡大化する動きに出ており、日本は釣魚島問題で紛争を引き起こしている。テロリズム、分裂主義、過激主義の「3つの勢力」の脅威が高まっている。「台湾独立」の分裂勢力およびその分裂活動は依然として両岸関係の平和的発展にとって最大の脅威となっている。また、重大な自然災害や事故、公共衛生事件の頻発など、社会の調和と安定を妨げる要素が増え、国の海外利益の安全リスクが高まっている。機械化戦争の形態から情報化戦争の形態へと速やかに移行しており、主要国は、宇宙空間やサイバー空間といった国際競争における戦略的キーポイントを抑えるため、軍事ハイテク技術の発展に力を注いでいる。
複雑に変化する安全保障環境に立ち向かい、人民解放軍は断固として新世紀の新たな段階における歴史的使命を果たしていく。国家の安全保障戦略と軍事戦略の視野を広げ、情報化の条件下における局地戦争に勝利することを立脚点とし、積極的に平和時の武装力の運用をはかり、さまざまな安全保障上の脅威に効果的に対応し、多様化した軍事任務を完成させる。
中国の武装力の多様な運用には、以下の基本政策と原則を堅持する。 ―国家の主権と安全を守り、領土を保全し、国の平和的発展を保障する。これは中国が国防建設を強化する目的であり、また憲法と法律が中国の武装力に与えた神聖な職責でもある。積極防御の軍事戦略を揺るぎなく実行し、侵略への備えと反撃の態勢を固め、分裂主義勢力を抑え込み、国境防衛、領海防衛、領空防衛を固め、国家の海洋権益と宇宙空間、サイバー空間の安全と利益を守る。「人われを侵さずんば、われ人を侵さず、人もしわれを侵さば、われ必ず人を侵す」との原則を貫き、国家主権の護持と領土保全のために、断固としてあらゆる必要な措置をとる。
[11] [12] [13] [14] [15] [16] [17] [18] [19] [20]
[21] [22] [23]