日本『留学生新聞』創刊者の趙海成さんを訪ねる (4)
■当時を振り返って
記者:日本で最も印象に残ったのはどんなことですか?
趙海成:取材相手の話や私自身の経験から、中国の伝統文化が日本社会の暮らしや仕事の隅々に用いられていることを知りました。多くの日本の企業人や政治家は中国の学問を学び、『論語』や『孫子の兵法』などを読んでいます。また著名な企業や団体の名前にも中国の古典から取られたものが多いのです。例えば、「積水化学」や「資生堂」、住友グループの「白水会」などはどれも中国と関係のある名前です。
記者:昔は日本が中国から学んでいましたが、私たちは今、日本に何を学ばなければならないしょうか?
趙海成:日本人は、中国の伝統を社会や仕事に用いることによって、日本を整然とした国にすることに成功しました。社会の秩序から企業文化、人間関係まで、理想的な状態が各面で保たれています。しかし中国の私たちは、自身の文化を保つことなく、浮き足立った社会を作り出し、金儲け優先の人が増え、物欲が拡大しています。これは日本との大きな違いです。
ほかの国が存分に活用している中国の伝統文化を、私たち自身はきちんと発揚し、継承できていません。これは残念なことではないでしょうか。
現在、国内の有識者も中国の伝統文化を幼児から勉強することを提唱しています。私は多くの人にインタビューしてきましたが、多くの人が、中国のよい所を取り戻すべきだと考えています。そのためには日本に学ぶことも必要となるでしょう。しかしそれは難しく、時間のかかる仕事です。
■中日交流に奔走する情熱家
記者:今でも日本にはよく行きますか? どんな中日交流活動に参加したことがありますか?
趙海成:今も毎年少なくとも2回は日本に行っています。長年続けてきた仕事、中国の大学生の日本訪問活動がありますから。今はよくない中日関係ですが、このプロジェクトはなんとか残してきました。今年11月にも行きました。大学生の代表団が30人、みんな北京の有名大学の学生です。私は代表団付き添いの記者をやっています。今回、私たちは日本の大型企業を数社訪ねて、日本の文化について学び、体験しました。この訪問団のほか、私自身で日本に行って取材や交流をすることもあります。中日関係は緊張していますが、日本人は、あなたが中国人だからどうこうするということはしません。少なくとも生活面で困らせたりはしません。
記者:中国と日本を比べると、生活上はどんな違いがありますか?
趙海成:日本の生活はずっと比較的安定していて、不動産の価格も20年前と大きな違いはありません。中国のように突然数倍に上がってしまうということはなく、物価も比較的安定しています。以前は、中国に帰るたびに中国のものはあれも安い、これも安いと思い、何でも買いたくなったものでした。でも今はむしろ、日本は何でも安いと感じます。例えば私の子どもの服ですが、どれも私が日本から持ってきたものです。質が良いし、値段も安い。