海外で広がるユネスコ無形文化遺産「中国珠算」
ユネスコはアゼルバイジャンの首都バクーで4日、「中国珠算」のユネスコ無形文化遺産リスト入りを正式に認めたと発表した。珠算はそろばんを使い計算をする一種の方法で、中国5番目の大発明と讃えられており、中国国家級無形文化遺産リスト入りも果たしていた。現代になり計算機が広く普及するにともない、珠算は中国国内の教室から消えつつあるが、中華文化の至宝のひとつとして、海外の多くの国の人々が学び、普及している。人民網が伝えた。
中国華文(中国語)教育基金会プロジェクト2部の李暁梅・主任は取材に対し、中国暗算の海外への普及ぶりを紹介した。「暗算はスピードが非常に速く、どんなコンピューターも太刀打ちできない」。暗算とは俗に、頭脳でそろばんをはじくといわれる。同基金会は国内で今年、初の海外中国語教師暗算トレーニングスクールを開催した。イタリア、ポルトガル、スペイン、フィリピンなど8カ国の中国語教師が訪中し、暗算を学んだ。
海外中国語教師への授業について李主任は、とても手応えを感じたと述べた。「億単位の数字も暗算なら素早く計算できる。海外の教師は机の下で計算機を使っても、これほど速く計算できなかった。しかも正解とは限らない。中国珠算の不思議さに驚いていた」。スペイン教育省はこのほど、中国の珠算、暗算、掛け算九九表を全国の小学校授業に採用し、中国暗算教師団をスペインに招き、授業を依頼することを決定した。珠算を受講したスペイン人は中国珠算に大いなる関心を抱き、機会があれば中国暗算をさらに理解し、学びたいとの声が集まった。
現代では計算機の幅広い応用の結果、教室から珠算が徐々に消えつつある。李主任は「中国のすばらしい文化の埋没」と指摘する。しかし日本では、学校で珠算を授業に取り入れ続けており、非常に優れた一種の文化的授業として普及させている。「中国の数多い文化が国内で消失した今、むしろ海外でのみ探せなくなった」と李主任は感慨深い。「国内、国外の多くの人達に珠算に対する一種の抵抗感がある」。人々は珠算はすでに淘汰された文化と感じているのだ。李主任は、今回の「中国珠算」の無形文化遺産リスト入りは、珠算の今後の普及に良好な影響を与えると考えている。「中国珠算は中国の無形文化遺産のみならず、世界の無形文化遺産と認められたに等しい」。
中国青年政治学院経済管理学院の劉泉軍・准教授は、山東財政学院の四年制に在籍した際に珠算を学んだ経験を回顧する。「珠算は私たちの必修科目のひとつ。当時は四大生は全員、国家珠算試験5級に合格しなければならなかった」。珠算はすでに会計業界の舞台からは「引退」したが、思考力を高める技能として学ぶ、ともとらえられている、と劉准教授。取材中に暗算について触れた劉准教授は、「現在、国内では暗算を教える課外活動のある学校がある」と述べ、子ども達は暗算を学ぶことで自身の智力を開拓し、将来の学習にも相乗効果がある、と指摘している。(編集HT)
「人民網日本語版」2013年12月9日