珠算が無形文化遺産に 世界最古の計算機
現状 10年前から珠算は小学校教材から姿を消す
1990年代まで珠算は中国の小学校算数の教育大綱にあった。しかし2001年に教育部(教育省)が発表した「義務教育教学課程標準」で、珠算は取り消された。珠算の計算機能は計算機に取って代わられており、珠算教育の取消で学生の負担を減らすことができるというのが理由だ。
また珠算は以前は会計学習における必修科目だったが、こうした状況も変化している。「以前は会計の資格証書のために必要だったが、現在では政策が変わった。そのため大学や専門学校の会計学専攻の学生もほとんど珠算を学ばない」。上海珠算協会の張さんはこう語る。
張さんによると、昨年から全国的な会計コンテストでも珠算が取り消されたという。「基層では大学や専門学校の教師も一般でも、依然として珠算を支持する声は大きい」。行政命令や政策の方向性などから、会計のコンピューター化などで珠算が取って代わられ、珠算の学習は障害に直面している。
珠算の普及は子どもや高齢者の知力アップに役立つ可能性
現在、珠算普及の対象としては、児童、知的障がい児、高齢者、大学や専門学校の学生などが中心に挙げられている。
中国珠算協会の丁先覚会長によると、珠算の技巧を児童の暗算教育に応用することができるという。「科学研究によると、珠算は子どもの記憶力と注意力を強化することが明らかになっている」、「多くの科学データによると、珠算は児童の知力を開発することができる。珠算は簡単な計算道具ではなく、児童の知力を開発することもできるのだ」と丁会長は語る。
張さんによると、上海珠算協会はあるリハビリ学校で16年にわたる珠算教育の実験を行っている。「珠算は知的障がいを持つ児童の左脳を開発し、論理的思考力を向上させることができる」。子どもたちの障がいの程度は異なるため効果もそれぞれだが、全体的な効果は悪くないという。
「高齢者は比較的珠算を好む。高齢者の頭脳のトレーニングに役立ち、認知症を予防することができる」。張さんによると、上海珠算協会は現在、高齢者向けの両手を使う珠算のコースを開設しており、教材を利用して高齢者に珠算を教えている。(編集YH)
「人民網日本語版」2013年12月5日