【第134回】商標の顕著性の審査判断について
商標は、商品の生産者や経営者がその販売する商品上に採用する顕著な特徴を持つ標識のことである。商標の最も重要な特徴は、特別な顕著性を持つ機能があるゆえ消費者が識別しやすくなる、ということである。
このため、世界各国の商標立法規定ではいずれも、顕著性の特徴が乏しい標識について、商標の登録使用を許可していない。しかしながら、この顕著性の有無について、単純な文字または表音文字の配列からこれを判断することはできず、多方面からその顕著性を判断することが必要である。たとえば、「Apple」というある意味ありふれた単語を例にとってみると、これを食品飲料種目において登録申請しても、顕著性に欠け、商標の本来の意味が薄まってしまうため、絶対に許可されない。しかし一方で、電子製品分野において「Apple」の登録は許可されており、これは「Apple」ブランドを明記することで、電子製品における顕著性はきわめて明らかであり、国際的に見て電子製品における「Apple」を知らない人はいないと言えるほどであるからである。
中国の「商標法」においても、「顕著性の特徴が乏しい標識は、実際の使用を通じて顕著的特徴を取得し、かつその識別に便利な場合、商標登録ができる」と規定されている。以下の中国最高人民法院の指導事案に採用された実例をもとに、簡単な英単語の組み合わせであっても顕著性の特徴を構成できるという好例を紹介していく。
一、事例
2004年2月12日、中国の某企業が、販売、輸出入代理などのサービス種目において、「BEST BUYおよび図」の商標の申請(商標申請)を行った。申請商標は英単語の「BEST」、「BUY」および四角枠の図形で構成される図(右記図)であった。国家工商行政管理総局商標局(以下、商標局という)は、申請商標はサービスと品質の特徴を直接表示したにすぎず、顕著性を兼ね備えてないとして、当該登録申請を却下する決定を下した。これを受けて中国企業は、商標評議審査委員会に再審査申請を行った。