このほど発表された「2023中国インターネットオーディオ・動画発展研究報告」(以下「報告」)によると、2022年12月の時点で、中国のインターネット視聴ユーザーは10億4000万人で、最大のインターネット応用分野となっており、関連分野の市場は7000億元(1元は約19.6円)以上規模となっている。人民日報が報じた。
「報告」によると、2022年12月の時点で、中国のインターネット視聴ユーザーはさらに増加し、ネットユーザーのその使用率は97.4%に達している。そのうち、同分野の発展を支えているのはショート動画だ。現時点でショート動画のユーザーは、10億1200万人で、ネットユーザーの利用が最も多い分野となっている。
「中国国家地理」メディア・コンバージェンスセンターの張辰亮主任は、ショート動画を通して科学知識を紹介しており、2300万人以上のフォロワーを抱えるネット有名人でもある。そんな張さんは、「画像と文の組み合わせと比べると、ショート動画には映像、解説、バックミュージック、編集といったたくさんの要素が含まれており、アプローチ方法が豊富で、科学知識を紹介するのに適している。科学知識を紹介するようになって12年目になり、画像と文の組み合わせから、動画での発信に変えて3年目になる」と話す。
ショート動画のほか、ライブ配信もインターネット視聴業界の重要な部分だ。「報告」によると、2022年、ライブ配信ユーザーは7億5100万人に達して、インターネット視聴業界で2番目に大きな分野となっており、エンターテインメントや教育、商業といった多くの分野にまで広がっている。
市場が7274億4000万元規模に
「視聴+」などの新シーン、新業態が続々誕生
インターネット視聴業界は現在、情報を発信するだけでなく、生産や生活の分野にまで広がり、さらに多くの新しいシーンや業態が生まれている。
ショート動画共有アプリ「抖音(中国版TikTok)」の生活関連サービスを総括する李然総経理は、「生活サービスを例にすると、ユーザーのニーズを深く掘り起こし、ショート動画やライブ配信を通して、オフラインのシーンとオンラインの利用者を関連付け、コンテンツ発信の優位性を活かして、さまざまな地域や規模の事業者のビジネス展開をサポートしている」と説明する。
図書業界に10年以上従事している于氷さんは、黒竜江省哈爾浜(ハルビン)で実店舗書店を数軒展開しており、「現在、経営難に陥っている実店舗書店も多いが、だからと言って、書店という業態が時代遅れになったというわけではない。知識の発信のスタイルの変化に合わせて、モデル転換や再編しなければならないということで、インターネット視聴業界の発展が、新たな突破口を提供してくれている」との見方を示す。
こうした動きを受けて、于さんはショート動画のアカウントを開設し、書店の立場からおすすめの本を紹介している。そんな于さんは、実店舗書店の今後の発展も見込んでおり、今年、新しい店舗をオープンさせる予定という。
「報告」によると、2022年、インターネット視聴産業関連の市場は7274億4000万元規模にまで拡大した。ユーザーの42.7%が、「ここ半年、オンライン動画、又はライブ配信を視聴したのがきっかけで商品を購入したことがある」と答え、その数字は2020年に比べて27ポイント上昇した。「視聴+」を代表とした新シーンと新業態が社会や生活、産業構造において、連結やエンパワーメントの役割を果たすようになっており、それが日に日に際立つようになっている。
読書系動画の再生回数が前年比65.17%増に
近年、視聴の分野での革新的技術成果が、業界の発展に新たなチャンスをもたらしている。人工知能や4K/8K超高画質動画、クロスリアリティ(XR)などが、インターネット視聴に新たな下支えを提供し、そのコンテンツの生成や配信、お薦め機能などが一層スマート化やパーソナライゼーションされ、その精度も高くなっている。
またハイクオリティなコンテンツは、依然としてインターネット視聴業界の持続可能な発展の最も重要な手がかりとなっている。「報告」によると、知識を習得するというのがショート動画ユーザーの重要なニーズになっている。
ショート動画は近年、知識発信促進という面で一定の進展を遂げている。最近発表された「2023抖音読書エコシステムデータ報告」によると、ここ1年、読書系動画の再生回数が前年比65.17%増、お気に入り登録が同比276.14%増となっている。なかでも5分以上の読書系動画の投稿数は同比279.44%増となっている。
同時に、未成年人の健全な成長のために、さらに健全な環境づくりをするというのが、視聴業界が注目する話題となっている。近年、関連当局の指導の下、インターネット視聴プラットホームは、青少年モードを開設したり、青少年用の健全なコンテンツプールを構築したり、マーケティング広告のプッシュ通知を禁止したり、使用時間や時間帯を制限したりするなどして、未成年者の成長を見守る取り組みを行っている。(編集KN)
「人民網日本語版」2023年6月9日