ドアを開けると自動的にセンサーライトが点灯し、空だきになるとガスコンロが自動的に止まり、プライバシーを保護する転倒モニタリング装置が取り付けられている……最近、北京市初のコミュニティ「高齢者向けサンプル住宅」が東城区で公開された。シャワールームとトイレを除くと、室内には一つの手すりも見られず、訪れた人に斬新な感覚を与えている。北京日報が伝えた。
このサンプル住宅は朝陽門街道市民活動センターにあり、1戸の面積は26平方メートル。室内にはリビング、キッチン、寝室、トイレなどの設備があり、飲食・住環境、トイレや入浴など高齢者向けのバリアフリー改修を通じて、高齢者の在宅生活のバリアフリーシーンを全方位的に体現した設計となっている。
デモ係が住宅に入ってシューズクローゼットの前に立つと、扉の上のセンサーライトが点灯した。その人の説明によれば、高齢者が夜に帰宅した時に周りをはっきり見られるようにと考えてこのような設計をしたという。
「こんにちは、明かりを全部消してください」。デモ係が壁のスマートスクリーンに指示を出すと、室内はすぐに暗くなった。実はこの住宅にはスマートホームの技術が採用されており、「声による消灯」が可能になっている。明かりを消すだけでなく、音声で電器製品、カーテン、音楽再生などをコントロールできる。
キッチンでは、タッチセンサーで昇降するつり棚がコミュニティ住民の姜秀萍さんの目を釘付けにした。姜さんが手を棚の方に出しただけで、調味料を入れたつり棚がするすると降りてきた。高齢の見学者は「これは思いがけなかった」とびっくりしつつ、「年を取ると高いところが怖くなるし、物を取るのも大変だ。キッチンにセンサー装置があれば、手を伸ばしただけで棚がひとりでに降りてきて、大いに手間が省ける」と嬉しそうに話した。設計責任者の趙元輝さんは、「高齢者だけでなく、車いすを使う障がい者にとっても使いやすい」と話した。
分析によれば、高齢者が自宅で転倒するケースの約半数が、トイレ、シャワールームで起きている。こうした衛生設備の改善が高齢者向けリフォームの重点になることが多い。この住宅では、衛生設備の床には段差がない設計が採用され、ドアは引き戸になっている。そして天井には転倒モニタリング装置も設置された。
特筆すべきは、室内のどこにも手すりが見られないことだ。というのも、デザイナーが手すりをテーブルの中や各種の台のなかに「隠した」からだ。趙さんは、「高齢者向けのバリアフリー改修では高齢者の心理状態にも十分な配慮が必要だ。家の中のあちこちに手すりがたくさんあると、空間を塞ぐだけでなく、一種の強い心理的暗示を高齢者に与えることにもなる」と話した。(編集KS)
「人民網日本語版」2023年5月23日