「生きているんだから、毎日を楽しく過ごさなくちゃ……」。
さきごろ、85歳の女性がネットのプラットフォームで自分の死んだ後のことを語る動画をアップした。動画の中で、女性は生死について率直に語り、自分が死んだら後のことはすべて簡素に済ませてほしいという。この人生に対する楽観的な姿勢がネットユーザーの間で熱い議論を引き起こすとともに、「この女性は本当に達観した人生の達人!」と称賛の声が上がった。動画の中のおばあさんはペスト専門家の朱錦沁氏であることに気づいたネットユーザーがいる。
「昔の出来事を語り、後の世代に残したい」
朱さんは娘さんに勧められて2022年からネットに人生について語る動画をアップしてきた。1人でスマートフォンに向かい、原稿なしで堂々自信をもって話し、青春時代から年配になるまで、生涯の出来事を1つ1つ動画に記録してきた。
朱さんによると、以前は忙しくて自分の生い立ちを子どもたちに話して聞かせたことがなかった。動画を通して、昔の大変さを語り、後の世代に残したいと思うようになった。そうしたら思いがけなく若い人にも人気が出て、動画を見たネットユーザーから更新を迫られることもあるという。
「もう退職した頃のことまで話してしまったので、これ以上は特に話題もないのだが、年を重ねているので、それじゃあ自分の死後のことを話そうと思った」と朱さん。
「人生の黄金期を衛生事業に捧げた」
朱さんは医療衛生事業に生涯を捧げてきた。動画で最も好んで取り上げるのも、忘れがたい青春時代の出来事だ。
朱さんは1938年上海に生まれ、父親が(国の呼びかけに応じて)西北地域の支援に携わっていたことから、17歳の時に家族で青海省に移り住んだ。その後、北京医学院公共衛生学部に入学。卒業して24歳の時、青海に戻ってペストの予防・治療に取り組む道を選択した。朱さんは人生の大半を青海に捧げ、衛生事業に捧げてきた。
ハードな勤務環境に直面しても、朱さんはやる気に満ちあふれ、交通機関がなければ、馬に乗ることを学んで山を超え川を渡り、農村に入って働いてきた。
こうして34年の間に、朱さんは学校を卒業したばかりの新人から成長して研究所の所長になり、ペストの診断処置に関する3つの国家標準の制定にも関わった。
朱さんは、「最初の目標は自分の所属機関をしっかり運営すること、業務水準を高めるようにすることだった。青海省で風土病の予防治療をする研究所の所長になってから、この目標を達成でき、中国国内でいささかの名声も得ることもできた」と振り返った。
朱さんが語る動画は多くの若いネットユーザーに、昔のことを知り、上の世代の人々の物語を理解するための窓を開いたと言える。
常に人生の楽しみを探し、毎日をよく生きる
退職後の朱さんは、ネットを通じて新たな楽しみを見いだした。大手SNSプラットフォームのすべてでアカウントを作成し、ネットユーザー達としょっちゅう双方向で交流をしている。長い動画は娘さんが字幕作成を手伝ったのを除けば、動画作成の大部分を自分でこなしている。生きている限り学び続ける。朱さんはこれまでずっと、こんな態度で人生に向き合ってきた。
朱さんは自分のこれまでの物語を語り終えても、動画の更新をやめなかった。今はネットユーザーが興味を持つ話題について動画を作成しており、語ることで若者の不安や苛立ちを少しでも抑え、楽観的な気持ちややる気を少しでも高めて欲しいと考えている。
朱さんは、「この社会で、若者はさまざまな考えを持っているが、私はやっぱり目標を持つべきだと思う。ただ毎日をやり過ごすだけではだめ、なんとなく生きてあっという間に一生が終わるというのではだめだ」と話す。
生死を冷静に見つめ、より真剣な態度で、毎日をよく生きようと努力する。85歳の朱さんは多くの若者にとってまさに人生のお手本を示している。(編集KS)
「人民網日本語版」2023年3月31日