梅観大道とは深セン市の中心地に向かう幹線道路で、深セン税関に属する梅林税関はその沿道にある。そこは深センの官署を総轄する検査・管理調整指揮センターで、年中無休で、祖国の南の門戸を守り続けている。光明日報が報じた。
この税関で勤続30年になる馮海さん(55)は、共産党員になって36年になる。一見するとごく普通の中年男性にしか見えない馮さんだが、無償献血を続けてすでに25年になる。馮さんが初めて献血バスで献血をしたのは1997年のことで、これまでに195回、全血1万1200ミリリットル、血漿2万8200ミリリットル、血小板179.4回分を提供してきた。提供した血液の量は合わせて7万2500ミリリットルにもなり、それは人間15人分の血液量に相当する。
周囲の人が馮さんが定期的に献血をしていることを知ったのは2021年になってからのことだった。ある日、馮さんはいつも通り献血を終えて出勤したところ、腕にできた青あざを、同僚が発見したという。そして、「どうしたのか?」と聞かれた馮さんは、「血液検査をした。大丈夫」とごまかしたという。
後になって、同僚たちは、馮さんが献血を続けていることでたくさんの栄誉を授与されてきたことを知った。大きな箱いっぱいになるほどの各級、各類のメダルやカップ、賞状などを授与されてきたものの、馮さんが周りの人にそのことを話す事はなかったという。
馮さんが献血するようになったのは、ある事故がきっかけだった。1994年、彼は大きな交通事故に遭い、頭部に重傷を負い、意識を失った。同僚たちがすぐに馮さんを病院に移送し、何とか一命を取り留めた。リハビリ中、周囲の人が昼夜問わず、きめ細かな看護をしてくれたおかげで、馮さんの体は少しずつ回復していった。その恩を馮さんは心にしっかりと刻み、どうにかして恩返しをしたいという思いが彼の中で次第に「決心」に変わっていったという。
2年に渡るリハビリが終わり、馮さんは1997年に初めて献血バスで人生最初の無償献血を行った。その時のことを、馮さんは、「僕にもう一度命をくれた深センの人に、このような方法で恩返しができ、肩の荷がおりた」と振り返り、その後の25年間、献血をずっと続けてきたという。
定期的に献血にいくことを、家族は当初理解してくれなかったため、家族が心配することのないように、そして健康的で基準値を満たす血液を安定して提供できるようにと、馮さんは運動や健康的な食習慣にも常に気を配るようになり、周囲の人からは「超ストイック」と言われるようになったという。
馮さんは近年、「深セン市道徳模範」、「広東省のいい人」、「全国無償献血奉献奨金賞」といった栄誉を授与されてきた。さらに、このほど、中国国家衛生健康委員会や中国赤十字会総会、中国共産党中央軍事委員会・後勤保障部衛生局から「無償献血奉献賞終身栄誉賞」を授与。これにより馮さんが箱に保存している栄誉の「重み」がさらに増した。(編集KN)
「人民網日本語版」2023年3月28日