四川省成都市には近年、「漢服の都」という新しい代名詞が増え、中国全土の漢服マニアから「漢服のナンバー1都市」と呼ばれている。四川伝統文化促進会漢服文化専門委員会の施倩執行委員長によると、「成都の漢服マニアや消費者は30万人を超えていると見られている」のだという。また、漢服が人々の普段の生活に少しずつ溶け込むようになるにつれて、「漢服モデル」という職業が誕生している。
成都市の市民・陳光憲さん(69)もその一人で、古風なキャラクターを武器にして、盛唐時代の杜甫や中国戦国時代の楚の屈原、北宋の蘇軾が師と仰いだ王芳などに扮した経験があるという。漢服を身にまとった陳さんは、浣花渓公園や杜甫の住居跡・杜甫草堂、望江公園などに足を運んだこともあり、親しみを込めて「漢服おじいさん」と呼ばれている。そんな陳さんは、「2012年から漢服を着用し始め、もう10年になる」と話す。
成都で漢服モデルのアルバイトをする陳光憲さん。
プロのカメラマンだった陳さんは2012年に漢服に出会い、たちまち魅せられてしまい、漢服を着るようになってもう10年になる。これまでに、10セット以上の漢服を購入してきたという。
陳さんは「漢服界」で次第に人気を集めるようになり、多くの人から親しみを込めて「漢服おじいさん」と呼ばれるようになった。2013年に定年退職した陳さんは、漢服を身にまとって、「漢服おじいさん」と自分で書いた扇子を手に、様々なイベントに参加するようになった。
漢服を着て10年になる陳光憲さん。
主にアルバイトとして漢服モデルをしている陳さんは、多くのイベントに招待され、祝祭日になると大忙しになる。
陳さんは「主に漢服を着て、写真のモデルをしている。僕のイメージを気に入ってもらえているようで、時にはステージに上がってより多くの人に見てもらうこともある。以前、杜甫に扮して、『杜甫と一緒に錦江観光』というイベントに参加した。主に国慶節(建国記念日、10月1日)に合わせた連休中に、遊覧船に乗って錦江の美しい景色を見る観光客を案内した。アルバイトだし、漢服モデルといっても稼ぎはそれほどなく、趣味の延長と言った感じ」と語る。
陳光憲さん。
また、「漢服モデルは、漢服だけではなく、民族伝統文化に対する自信も身にまとっている。体が動くかぎり、漢服イベントに参加し、漢服を着続けたい」とした。 (編集KN)
「人民網日本語版」2022年11月18日