新型コロナウイルス感染が拡大する中国各地の学校では現在、「休校しても学び続ける」ため、オンラインを利用した授業がスタートしており、それに伴い、ネット上にはオンライン授業に関する面白ネタが次々と投稿されている。教師たちはライブ配信で商品を売りさばいたり、メイクによる変身術を披露するパーソナリティよりも「ファン(=学生)」を惹きつけねばならず、学生は学生で、教師からさされないようにと、パソコンのウェブカメラの前で微動だにせず、「ネットの接続不良」を装うといったようなネタだ。
今週、中国の多くの学校が次々とオンライン授業という形式で新学期をスタートさせており、さらに多くの教師たちが「パーソナリティ」や「サイト管理者」へと華麗なる転身を遂げている。ここではそんな教師たちに、彼らにとってのオンライン授業について取材した。
オンライン授業にはちょっとした知恵が必要!「ラッキーマネーを送って出席確認」
李楠先生(48)は中学1年生を担当する数学教師。
学校のライブ配信プラットフォームがまだ立ち上げられていないため、李先生は微信(WeChat)のグループチャットを使ってオンライン授業をしており、「私が受け持っている2クラスの生徒たちを全てグループに加入させ、1つの学習グループを立ち上げた。毎日、授業で使うパワーポイントや、事前に録画した動画をグループで配信している。各教科でも似たようなグループが立ち上げられており、生徒たちはおよそ12個のグループチャットに加入しなければならない」とする。
教壇に立ち授業を行う経験は豊富な李先生も、動画作成となると様々なハードルに直面することに。専門的なライブ配信設備もないため、家にあるデスクライトを三脚代わりにするなど、アイデアで乗り切っている。
デスクライトにスマホを括り付けて動画作成(画像は李楠先生が提供)。
「スマホで動画を作成する場合、教室での授業のように、生徒の反応を見ながら進めることができない。途中まで録画して、あそこはもっとこうしたほうがよかったと思いなおし、もう一度最初から撮りなおすということもしょっちゅうだ。そうやって修正に修正を繰り返していると、5分の動画を作るのに、2、3時間かけてしまうこともしばしばだ」と李先生。
授業が終わる時間になると、李先生はグループチャットに「ラッキーマネー」を送り、それをクリックする人数を見て、どれくらいの生徒がちゃんと授業に参加していたかをチェックするのだという。李先生は、「そんなちょっとした知恵までフル活用することになっている」と笑いながら話した。
李楠先生と生徒のチャット画面(画像は李楠先生提供)。