大型医療人的・文化的ドキュメンタリー「中国医生(The Chinese Doctor)」(全9話)の放送が安徽衛視(衛星テレビ)で 今月7日夜から始まった。製作グループは2年かけて、中国全土の大規模病院である6ヶ所の三甲病院のさまざまな科を徹底的に取材し、医療従事者約30人を追跡することで、医師という職業のさまざまな側面をリアルに描き出している。同作品は動画共有サイト・愛奇芸(iQIYI)で4話まで配信され、コミュニティサイト・豆瓣のレビューは9.2ポイントと、好評を博している。北京青年報が報じた。
「中国医生」はこれまでの医療系ドキュメンタリーとは異なり、医師の目線に立っており、成都華西病院と南京鼓楼病院、西安交通大学第一附属病院、浙江省人民病院、合肥の中国科学技術大学附属第一病院、河南省人民病院の6ヶ所の三甲病院で最も代表的な科と医療従事者にスポットを当て、高尚でありながら冷徹ではなく、人間味溢れる医師の姿を描き出している。
例えば、河南省人民病院の国家高級脳卒中センターの朱良付医長は、同病院の心脳血管疾患グリーンチャンネルの発起人で、各病棟を行き来する多忙な医師。退勤して家に帰り、娘との貴重な夜の時間を過ごしていたとしても、「急患が入った」と電話が入れば、すぐに病院に向かう。ハードでストレスの多い仕事について、朱医長は、「自分が急逝するのではと心配になることもあるが、死ぬことはできない。私のような医長になれる医師を育てるには約25年もかかる。もし私が死ねば、国の資源を無駄にすることになってしまう」と率直に語る。
中共中央宣伝部と国家衛生健康委員会により、2019年全国「最も美しい医師10人」の一人に選出された南京鼓楼病院心胸外科の王東進医長は、365日無休で働く医師だ。「心臓の爆弾処理兵」と称されている王医長は、これまで30年以上の間に、チームを率いて各種心臓手術を1万件以上行い、その成功率は99%。重い頚椎症を患う王医長は頸椎装具を装着してでも手術台に立ち続け、週末になると、学術会議に参加したり、農村に足を運んで医療活動をしたりしている。
南京鼓楼病院で最も若い博士課程指導教員である腫瘍科の魏嘉・副医長は、がん患者にもっと多くの治療の希望を提供したいと、1歳になったばかりの息子を残して、米国に行き腕を磨いている。西安交通大学第一附属病院の整形外科の舒茂国・副医長は、報酬の多い他の地域での診察や手術をすることもできるものの、そうはせずに、公益活動「微笑みキャンペーン」に参加し、さまざまな省・市の辺鄙な地域で、口唇口蓋裂を患う子供の手術を無料で行っている。
医療従事者が無私の気持ちで献身的に医療に携わる姿を描こうと、「中国医生」は医療従事者の親しみやすさを感じさせる一面にも注目している。例えば、南京鼓楼病院の整形・火傷科のイケメン医師・徐曄さんは、25歳で博士課程を修了した天才ドクターであると同時に、オシャレ好きな若者でもある。ざっくばらんな朱医長も患者に冗談を言ったり、入院している子供にチョコレートをあげたりと、とてもフレンドリーだ。それら医師の個性や人格的魅力は、医療従事者に対する多くの人のイメージを変え、双方の距離をぐっと縮めてくれる。
その他、「中国医生」は、実際のケースを通して、さまざまな病気に関する科学的知識を視聴者にわかりやすく伝えている。例えば、中国科学技術大学附属第一病院血液内科の孫自敏医長が白血病患者を治療する様子を通して、臍帯血移植のプロセスや外界から隔離された状態となる造血幹細胞移植患者用の無菌室の環境などを知ることができる。王東進医長は患者を治療しながら、致死率の非常に高い大動脈解離や発症から6時間以内に診断をして治療を始めることの大切さなどを伝えている。
同作品の張建珍総監督は、「ほとんどの人にとって、病院や医療システム絶対に必要なものであるものの、それに対する理解が欠けているため、認識が低く、不満ばかり言ってしまうということが多い。この作品を通して、視聴者に医療、医師に対する理解を深めてもらいたい」と話す。(編集KN)
「人民網日本語版」2020年2月13日