「この前彼と別れました。卒業後1年以内に結婚したいと彼が求めてきたからです。でも、私は結婚したくありません」。こう話す劉夢さんは、北京の大学院に通う23歳の女性で、来年修士課程を修了する。5年前から交際していた彼のことは大好きだ。だが卒業後1年以内に結婚することは、到底受け入れられないという。人民日報海外版が報じた。
結婚して子供を産むことに対する焦りはもはや持っておらず、ましてや人生における必須の選択であるとも思っていない。北京大学社会学部の李建新教授は、「早く結婚して子供を産み、子供が多いほど幸せという、先祖代々受け継がれてきた伝統的な結婚・出産観は、もはや過去のものとなった。個人主義時代における結婚・出産観が、従来の家族主義にもとづくものに取って代わりつつある」と指摘している。
〇「結婚しない」のは、「貧乏」だから?
若者の多くは、「結婚しない原因は、貧乏だ」としている。「貧乏」という言葉は冗談味を帯びているが、その背後には、より複雑な社会的要因が潜んでいる。
公務員として3年間働いてきた張帥さんは、現在のところ結婚は考えていないという。「今の結婚は、相手にマイホームやマイカーの有無といった物質的条件を求める傾向がある。恋愛・結婚になぜマイホームが必要なのか、私にはどうしてもわからない。しかし、誰もがこのような認識を持っており、それが当たり前だと考えている」と張さん。
有名な心理カウンセラーの周若愚さんは、「今の社会は、結婚における幸福というものが、マイカー・マイホーム・結納品など、あまりにも多くの物質的条件でがんじがらめになっている。さらに、一部の恋愛関係のセルフメディアが発表した文章も、理想の相手の条件を高め続けるため、現代の若者自身も影響を受けて結婚に対する期待が高くなり、条件に適う相手をみつけることができなくなってしまった」と指摘した。
多くの人々、とくに男性は、「キャリア上での成功や社会的地位の獲得が実現してはじめて、具体的に結婚相手を探す時間ができ、費用を備えることができる」と考えている。周若愚さんは、「実際のところ、マイカー・マイホーム・高学歴・安定した仕事が揃わなければ結婚できないのであれば、おそらくほとんどの人は、40歳にならないと結婚条件に達することはできないだろう」とため息まじりに話した。