有識者から、「中国の現行の法律で定められた結婚できる年齢は世界的にみて高いほう。一般的に女性は18歳前後、男性は20歳前後で、心身は基本的に成熟し、婚姻の社会的意義も法的意義も理解できるようになる。よって法定結婚年齢を現行の男性22歳、女性20歳から、男性20歳、女性18歳に引き下げてはどうか」との提言が寄せられた。実は法定結婚年齢の引き下げが提起されたのはこれが初めてではないが、これまで民間で声が上がったり、メディアで検討を行ったりしたのとは異なり、ここ1-2年ほどは、全国人民代表大会の代表や全国政治協商会議の委員、学者などから次々声が上がっている。「北京青年報」が伝えた。
さきに人民日報が行ったネット投票では、ネットユーザーの87%が「法定結婚年齢の引き下げ」に対して反対に投票している。このことからこの問題には大きな論争が生じる可能性があることがわかる。
確かに、他国と比べて中国の男性満22歳、女性満20歳の法定結婚年齢は高い。過去を振り返っても、現行の法定結婚年齢の規定は中国の歴史の中で最も高くなっている。現在の中国国民の初婚年齢がますます高くなり、結婚率と出生率がますます低くなる「厳しい情勢」を踏まえ、「人口の長期的にバランスの取れた発展」の検討に基づけば、法定結婚年齢の引き下げは当然のなりゆきのようにみえる。
確かな事実は、学歴が高く、仕事も順調な層ほど、初婚年齢が高く、出生意欲が低く、「法定結婚年齢の引き下げ」を望んではおらず、引き下げによって早く子どもを産んだり、たくさん子どもを産んだりするようにはならないということだ。大まかに行って、「早く結婚できるようになること」に関心が高いのは、一般的に教育レベルが低く、職業上のリターンに限界がある層であり、こうした人々は元々出生意欲が高い。法定結婚年齢を引き下げるかどうかに関わりなく、こうした人々は基本的に規定の年齢に達すれば子どもを産む。このような状況であれば、法定結婚年齢の引き下げに出産症例の希望を託しても、実行可能性があるだろうか。
研究によると、学力レベルと2人目を生むかどうかはU字型の分布を示し、大学専科(短大に相当)を境界線として、学歴が高いほど、あるいは低いほど2人目を希望する。法定結婚年齢を引き下げても、元々「晩婚型」だった高学歴層には何の影響もなく、一部の低学歴・低収入の層がより早く結婚出産するようになるだけだといえる。しかも後者の出産を前倒しするだけで、出生人口が増えるわけではない。
結果を十分に考察し、シミュレーションをしっかり行って初めて、法定結婚年齢引き下げの議論が健全なものになる。人民日報の調査でネットユーザーの9割近くが引き下げに反対したのも、それなりの理由があることだといえるかもしれない。(編集KS)
「人民網日本語版」2019年8月7日