このほど業界のアナリストが打ち出した予測によると、米アップル社は2020年に5G対応の携帯電話端末2機種を発売するという。一方で、サムスンの5G端末がすでに販売されており、華為(ファーウェイ)、グーグル、小米、OPPO、vivoなどの端末メーカーも19年内に5G端末を発売する計画だ。スマートフォン産業の大手アップルはなぜ、19年の5G端末争奪戦に参戦しないのだろうか。(文:左鵬飛・中国社会科学院数量経済・技術経済研究所補佐研究員。「科技日報」掲載)
▽特許紛争とネットワークのバックアップ不足により発売を遅らせる
筆者の考えでは、アップルが5G端末の発表を遅らせている主な理由は2つある。
まず、クアルコムとの特許紛争の影響がある。アップルとクアルコムとの特許紛争は17年11月に始まり、19年4月に和解に至ったが、和解まで長い時間がかかったことから、両社の協力に大きな影響が生じ、アップルによるクアルコムのチップの利用にも直接影響が出た。
5G端末の最も重要で、最も中心的な技術・部品は5Gチップだ。アップルはインテルからチップの提供を受けることも検討したが、インテル製品の性能と研究開発ペースはアップルの要求に十分応えられるものではなかった。そこでアップルはクアルコムとの協力を継続し、クアルコムが5Gチップの開発を待たなければならなくなったとみられる。
次に、5Gネットワークが完全に成熟するのを待っているということがある。5G信号の基地局建設には一定の時間がかかり、現在はどの国の5Gネットワークもまだ成熟しているとはいえず、このことが5G端末の利用をある程度制約している。そこでアップルは今5G端末を発売してもネットワークのバックアップが不十分で、端末のもつ機能を存分に発揮できないと考えたとみられる。
▽キラーアプリ開発が目下の急務
イノベーションは企業にとって最も大切な生命力だ。アップル端末の発展プロセスを振り返ると、通信技術の変革の最初の波に乗れなかったのは今回が初めてではない。第1世代のアップル端末は2Gネットワークにしか対応しなかったが、当時すでに3Gネットワークは始動していた。