1人で住み、1人でご飯を食べ、1人で旅行し、1人で生活する…消費の高度化にともない、単身者・独居者層に向けた巨大な消費市場が緩やかに形作られている。2枚入りパックのパンはコンビニエンスストアの棚をみるといつも売り切れで、「1人でごはん」のアドバイスはますます多く出回り、200ミリリットル入りの赤ワインの小瓶が人気で、洗濯機や冷蔵庫といった生活家電は「シングル向け」が次々売り出される…こうした消費生活の中の細々した情景は、「おひとり様経済」が誕生し発展しつつある様子を静かに映し出している。「文滙報」が伝えた。
「低欲望社会」や「無縁社会」というキーワードに象徴される「欲望も欲求もなく、孤独のうちに老いを迎える」という日本の単身社会とは異なり、中国の単身層は生活の質に対する要求がますます高くなっている。単身層の感情や生活に対する考え方が家の様子をも緩やかに変化させている。冷蔵庫は寝室にあり、洗濯機は壁に掛かり、リビングにはテレビがないといった変化だ。天猫(Tmall)のデータ報告によると、180リットル以下の小型冷蔵庫を買った人は2018年に33.33%増加し、その多くが寝室に置かれて、カクテルの小瓶や果物やフェイスマスクを冷やすのに使われている。女性用下着専用の壁掛け式洗濯機は、18年6月の販売量が同年第1四半期の総販売量を上回った。
こうした単身層のニーズに合わせて設計製造された製品にみられるはっきりした特徴は、「小さい」ということだ。ここ2年ほどの間に、機能が細分化された小型家電の新製品が次々誕生し、特に目立った動きをみせたのは音声操作の小型スマートスピーカーで、販売量は160倍も増加した。また生ごみ処理機、体組成計、マッサージチェアの18年1~9月の販売量増加率は160%、120%、110%を超えた。業界関係者は、「ここから独居社会に依拠した『おひとり様経済』が一定の経済成長を促す可能性があることがわかる。特に消費レベルの上昇と消費量の増加が、販売モデルと経済発展の転換をもたらす可能性がある」との見方を示した。
同時に、単身層には「高消費、低貯蓄」という特徴が典型的にみられ、生活の質を重んじるため、企業はそこにより多くの商機を見いだしている。企業関係者は、「中心層の消費観の変化が消費高度化の中で巨大な消費の潜在力をはぐくむことになる。たとえば単身層は生活の質を非常に重んじ、食品の安全性により注意を払い、価格にはそれほど敏感でなく、快適で便利なショッピング環境を求め、通常の値下げやキャンペーンにはそれほど注意を払わないが、会員向けポイントアップには積極的に対応する。現在、一人用の食事、小型家電、小型マンションなど単身層向け産業が急速に発展しているが、それでも単身者や独居層向けにデザインされた製品の種類はまだまだ少なく、これから『小にして良』の業態がますます多くなることが予想される」と述べた。
業界関係者は、「中国の単身層は消費高度化を牽引する中心になることが期待され、こうしたトレンドは今後長く続くことが予想される。商品はますます小さくなり、機能はますます細分化しており、これは中国が目下、たどりつつある時代の縮図であり、消費者とビッグデータによる生産の推進の生き生きした実例だ。企業にとってみれば、こうした社会層の生活と心のニーズをくみ取り、細やかな機能を備えた製品を作り出せば、彼らのニーズに応えることができる。特に『オタク』などの単身の生活形態が、物流経済を促進するのではないだろうか。製品のデザインと物流レベルの向上に影響を与えるのではないだろうか。『おひとり様経済』の発展に直面して、企業は単身者のグレードに対するニーズを満たすだけでなく、彼らの生活形態をより深く分析することが必要になる。『おひとり様経済』のコンセプトの商品やサービスは、『普段の経済』の『カット版』でも『縮小版』でもなく、製品をめぐる論理が完全に異なる。製品やサービスを小型化しさえすれば、『おひとり様経済』の最初の鉱脈をすぐに掘り当てられると考えるのは、大間違いだろう」と述べた。(編集KS)
「人民網日本語版」2019年2月23日
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