「心と心つないだ餃子」を読む慶応大学の学生 (撮影・劉軍国) 。
中日平和友好条約締結40周年を記念し、日本僑報社が主催、在日本中国大使館が後援した作文コンクール「第1回忘れられない中国滞在エピソード」の授賞式がこのほど、東京で開かれた。在日本中国大使館の程永華大使や日本僑報社の段躍中編集長、日本の財務大臣政務官・伊佐進一氏、日中友好協会の顧問・小島康誉氏のほか、受賞者ら約150人が出席した。人民日報が報じた。
「忘れられない中国滞在エピソード」は、中国に滞在した経験があったり、または現在滞在中の日本人が応募することができる作文コンクール。日本僑報社は受賞作品集として「心と心つないだ餃子」を出版し、日本の実店舗書店やオンライン書店で販売している。
授賞式には自民党の二階俊博幹事長から、「中国に滞在したことがある全ての日本人が、その貴重な経験を日中友好交流に十分生かすことを願っている。日本の多くの読者が読んだときの感動を胸に、自分の目で中国を見に行くことを願っている」と祝電が寄せられた。
また程大使は授賞式の挨拶の中で、「『忘れられない中国滞在エピソード』のコンクールが成功裏に行われたことは、中日両国国民の相互交流の盛り上がりを示している。中国について何も知らなかった多くの日本人が、交流を通して、中国人と相互理解し、信頼を深め、最終的にかたい友情を築いているのを見ることができて、とてもうれしい」と述べた。
2018年7月に北京の清華大学を卒業したばかりの原麻由美さんは、中国における10年間の留学生活を振り返り、「世界で一番美味しい食べ物」という作文を書き、餃子がつないだ中国人継父との心の交流を描いた。
授賞式で原さんは中国での思い出を興奮気味に語った。08年、母親が現在の継父である中国人と結婚したため、当時12歳だった原さんも母親と共に中国に来て、現地の学校に通うようになった。しかし中国に来た当初は、試験のたびに毎回最下位でとてもつらかったのだという。
ある日、継父に連れられて原さんは餃子を食べに行った。あったかい餃子を食べながら、継父は重い口を開き、「最下位でも恥ずかしがる必要はない。お前は中国語を勉強してまだたったの1年。同級生にとって中国語は母国語なんだから成績に差があるのは当然のこと。お前は中国人の同級生を手本に努力して、これまでの自分を越えることができるように頑張り、少しずつ進歩していけばそれでいいんだよ」と言ってくれ、とても感動したのだという。その年の春節(旧正月)、原さんは継父に家族みんなで餃子を作り、食べながら話をしようと提案。その時から、原さんは心の底から継父を受け入れることができるようになり、本当の家族となったという。
原さんは作文の中で、「10年にわたる中国での留学と暮らしの中で、私に餃子のような温かい愛を示してくれたのは、他の誰でもなく、中国人の継父です。継父と一緒に食べた餃子はまるで太陽のように私の心を照らし、私に無限の希望を与え、私の中国での生活を支え、私と継父の間に国境、血縁をも超えた親子の絆をくれたのです。餃子が心と心を繋げてくれる世界で一番美味しい食べ物だと、私は思っています」と綴っている。
また東京在住の中関令美さんは、作文の中で、南京のある女性とのエピソードを綴っている。中関さんが家族に、「中国人の友達に誘われたので、南京に旅行に行く」と言うと、とても心配した祖父母から強く反対されたという。しかし中関さんは反対を押し切って、単身南京に旅行に行った。
中学の歴史の教科書で南京大虐殺について学んでいた中関さんは南京に到着してからも、自分の国籍をとても気にしていた。例えば、空港で入国審査を受ける際、パスポートの表に書かれている「日本」という文字を隠そうと、わざとパスポートを裏向けにして審査官に渡した。また、タクシーの運転手やレストランのスタッフに国籍を聞かれるときも、とても気まずい思いをしたという。ところが日本人であることを告げても、相手が親切に接してくれることに、とてもびっくりしたという。
また南京の友人に「どこに行きたい?」と聞かれ、中関さんは、「侵華日軍南京大虐殺遇難同胞紀念館を見学したい」と答えた。紀念館を真剣に見学した後で、彼女は中国人の友人から、「歴史を改竄してはいけない。南京大虐殺の証拠ははっきりしていて、それを覆すことはできない。でも、私たちは永遠に友達」と言われ、涙があふれたという。
中関さんは作文の最後に、「空港で中国人の友達と別れた後、私には、将来日本と中国の友好の懸け橋になるという新しい夢ができた。南京での経験を心に銘記して、今後も頑張りたい」と綴っている。(編集KN)
「人民網日本語版」2019年1月10日
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