中国の最近の経済データが予想を下回ったこと、購買担当者景気指数(PMI)が景気と不景気のボーダーラインである50を下回ったこと、さらに米アップル社の株価が中国市場での売り上げ不振により1日で10%も暴落したことなどにより(株式市場で勝ち続けてきた「投資の神様」ウォーレン・バフェット氏ですら、アップル株を最高値付近で購入したために資産を40億ドル<1ドルは約108.8円>も減らした)、中国経済の発展と密接な関わりをもつ資源輸出国のオーストラリア、ニュージーランド、カナダなどの通貨が米ドルに対して大幅に値下がりしている。だが日本円の対ドルレートは4%以上も急上昇し、対人民元レートの上昇幅も一時2%を超えた。「国際商報」が伝えた。
オーストラリアドル、ニュージーランドドルなどは、銀行金利が日本銀行(中央銀行)のマイナス金利を大きく上回る。そこで民間に資産が蓄えられている日本の投資家は常に資金を国際市場に投入し、高金利の通貨を購入して、金利差から利益を得ようとする。
各国経済は過去40年間のグローバル化で力を発揮し、緊密に結びついてきた。風は吹き始めは穏やかで徐々に勢いを増すものであり、世界2位のエコノミーの中国が微風を起こすと、それは連鎖反応をもたらして大風になる。オーストラリアドル、ニュージーランドドル、カナダドルは商品通貨として、輸入大国の経済データに敏感に反応する。オーストラリアドルとニュージーランドドルは中国経済の低迷により、2018年12月から相場の下落幅が予想を上回った。1月3日には、オーストラリアドルの対人民元レートが3年ぶりの低記録を更新した。中国経済の成長幅が鈍化し、PMIがボーダーを下回ったため、国際大口商品価格が圧力を受ける流れができた。これは資源製品の輸出を中心とする国にとっては、需要と輸出が減少し、経済発展が抑制されることを意味する。一方で、オーストラリアの不動産市場は3四半期連続で低迷し、2大都市のメルボルンとシドニーは不動産価格の最大低下幅が20%に達し、不動産ニーズをさらに冷え込ませた。不動産の経済に対する牽引効果は軽視できず、不動産市場の低迷は川上から川下の産業が低迷することを意味しており、内外の要因が重なり合ってオーストラリア経済が萎縮し、オーストラリアドルのレートが低下した。
一方、英ポンドとユーロは英国の欧州連合(EU)離脱やイタリアの財政危機といった障害に直面し、貿易摩擦と原油価格の暴落によりオーストラリアドル、ニュージーランドドル、カナダドルのような関連の商品通貨が圧力を受け、世界の為替市場ではこうした国々の通貨が値下がりしたことで、日本円が相場全体の中で優位に立つことになった。オーストラリアドルやニュージーランドドルなどの高金利の通貨が大幅に値下がりしたことから、これまで日本の投資家が外国為替市場で1年間に3〜4%の金利差によって得てきた利益が、オーストラリアドルとニュージーランドドルの4%の値下がりがもたらした損失により失われた。一層の損失を防ぐため、日本の投資家は相次いで円を買い戻すようになり、こうして円が短時間に急速に値上がりすることになった。また19年の世界経済のもつ不確定性から投資家は「避難資産」を求めており、円はドルと直接交換できるメジャーな通貨の中で最も強い通貨になった。
最近、円の対ドルレートは前年同期比2.2%上昇して、1ドルあたり112.69円から110.27円に値上がりした。また円は世界の外貨準備に占める割合が18年第3四半期は5%に上昇して、過去16年間で最も高い水準になった。(編集KS)
「人民網日本語版」2019年1月9日
このウェブサイトの著作権は人民日報社にあります。
掲載された記事、写真の無断転載を禁じます。
Tel:日本(03)3449-8257
Mail:japan@people.cn