その他、中国と日本の間で、対応する時代を探すというのも大切だ。中日両国の倫理の現状、時代の段階には違いがある。例えば、日本の原作が1970年代を舞台にしている場合、それは日本が高度経済成長を経験していた時代にあたる。一方、中国では、80-90年代にそれを経験した。「改革開放(1978年)を背景に、経済が急速に発展し、中国人の生活に対する思い、倫理、道徳も変化した。だから、日本の作品が70年代が舞台であれば、80-90年代にずらすと、中国版のストーリーの舞台にぴったりとなる。そうすれば、原作小説のテーマにぴったりの人物像もでき、リメイクにおける課題をほぼ解決できる」と説明している。
中国版「ナミヤ雑貨店の奇蹟」のストーリー展開、人物の運命にも、中国文化の痕跡がはっきりと見える。中心的な人物である無名のおじいさんは、旧社会を知り、昔に恋愛を実らせることができなかったため、ずっと独身だ。その元恋人の張おばあさんもずっと独身だ。それでも、二人ともその苦い思い出を新たな力に変えている。おじいさんは雑貨店で、手紙を書いて悩みを持つ人を助け、一方の張おばあさんも孤児院を立ち上げ、孤児たちの世話をしている。「このような親切心は、儒教が教える美徳。全てのストーリーが、17年のある夜に、若者3人が雑貨店に逃げ込むところから始まり、無知で反抗的な若者らがそこで少しずつ『愛』を見つけ、『孝悌忠信』、『礼義廉恥』という美徳を身に付けていく。そのような文化の脈を見つけ出すと、ストーリー全体の糸口、感情の力、倫理的観点もおのずとできてくる」と韓監督。
「ナミヤ雑貨店の奇蹟」では、演技派のベテラン役者のほか、現在注目を集める旬のアイドルも出演している。これは映画製作においてはいろんな資源を組み合わせて使い、高い業績を上げようとする出資者の意向であると同時に、韓監督も、「僕の映画は終始一貫して一つの理念を保っている。プロの役者であるか、アイドル、アーティストであるかは重要でない。重要なのは、出演者がその役に適しているか、心の中に秘めたエネルギーを燃え上がらせることができるか、作品に対して責任感を持つことができるか、映画製作に向上心を持って臨めるかなど。それらの点で共通認識に至ってから、僕は製作に取り掛かる」と、旬のアイドルを起用することに反対はしていないと話した。(編集KN)
「人民網日本語版」2018年1月4日
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