習近平国家主席はこのほど米国のトランプ大統領、ドイツのメルケル首相、フランスのマクロン大統領と相次いで電話会談し、朝鮮半島情勢について重点的に意見交換した。これに先立ち、ロシアのプーチン大統領と厦門(アモイ)でのBRICS首脳会議期間に会談した際も、朝鮮による再度の核実験という最新の事態について意見交換した。朝鮮による新たな核実験が国際情勢を再び撹乱する中、各大国の首脳がいずれも重大な懸念を表明して、意思疎通・調整・協力を強化し、朝鮮半島核問題解決の方法を早期に見出すことを望んでいることは明らかだ。(文:賈秀東・本紙特約論説員、中国国際問題研究院特別招聘研究員。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
こうした連動において、中国側は「3つの堅持」という強いメッセージを伝えた。朝鮮半島の非核化実現という目標の堅持、北東アジアの平和・安定維持の堅持、朝鮮半島問題は結局は対話と協議を含む平和的方法によってのみ解決されるとの考えの堅持だ。最初の2つの「堅持」は目標であり、最後の「堅持」は目標実現のルートであり手段だ。各国首脳の発言を見ると、朝鮮半島の非核化実現と地域の平和・安定維持という二大目標の実現における立場は基本的に一致しているが、それをどう実現するかという問題においては微妙な溝がある。
朝鮮半島問題解決の方法は多くあるが、出口は1つだけだ。確かに、朝鮮の新たな核実験は安保理決議への重大な違反であり、国際的な核不拡散体制に打撃を与え、北東アジア地域情勢を悪化させるものであり、国際社会の断固たる反対と強い非難を受けるのが当然であり、朝鮮に一層の国際的制裁と孤立をもたらすものでもある。こうした状況であればあるほど、国際社会は対朝制裁、圧力、孤立が朝鮮半島核問題の根本的解決にはならないという事も一層明確に認識すべきだ。また、朝鮮にとっても、核保有は自らの安全の保証を強化することにはならない。朝鮮半島情勢の悪循環は朝鮮及び米韓を始め各国の安全保障上の苦境を強めるだけであり、最終的に各国共に望まない流血と衝突を招く恐れがある。苦境を脱する唯一の出口は対話にある。
朝鮮半島問題のかつての対話プロセスには紆余曲折があり、対話再開は一層困難だ。朝鮮半島問題の核心は安全保障問題であり、朝鮮半島の安全保障問題の基本的特徴は対立する各国が共に安全保障上の苦境にあることだ。そしてこうした安保上の苦境がもたらされた根本的原因は、米朝の長く根深い相互不信にある。各国は共に自らの理に適った安保上の懸念を有してもおり、各国のこうした懸念をどう解決するかが難しい点だ。中国側の示した、朝鮮による核・ミサイル活動の停止と米韓による大規模合同軍事演習の停止という「相互停止」提案、及び朝鮮半島の非核化実現と平和メカニズム構築の「デュアル・トラック」アプローチは、まさに朝鮮半島問題の核心を捉え、その根本的原因を正確に押さえており、朝鮮半島問題の難点を戦略的に処理することができ、各国の安保上の懸念に配慮したものだ。
米ニューヨーク・タイムズ紙も先日の社説で、トランプ大統領に「相互停止」を提案し、トランプ大統領は意図的またはミスによって戦争を引き起こす前にこの可能性を試す必要があると指摘した。対話の道は起伏のある茨の道で、長く曲折があるのが定めだ。だがこの出口よりも現実的な選択肢はあるのか?国際社会は朝鮮半島問題の対話による処理をあまねく期待している。朝鮮と米韓の政治決断に、その鍵がある。朝鮮半島はすでに大変危険な情勢にある。各国が共に責任を担い、相応の妥協をする必要がある。(編集NA)
「人民網日本語版」2017年9月11日
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