「海外留学」は一時、中国の若者の間で、より良い仕事に就くための「ゴールド・チケット」であると見なされていた。だが、海外留学から帰国した学生の平均初任給が、1万元(1元は約16.7円)から6千元まで落ち込んでいるのが現状となっている。海外帰国組が、中国国内で教育を受けた学生より明らかな優位性を備えていた時代は、もはや過去のものとなったようだ。香港「サウスチャイナ・モーニング・ポスト(南華早報)」6日付報道を引用して参考消息網が伝えた。
決して給与は高くないものの、数年前から海外留学から帰国する学生の数は増加傾向にある。
2007年には帰国を選択した人はわずか4万4千人だったが、2016年には、その10倍近い43万2500人にまで膨れ上がった。
大陸部のメディアによるサンプリング調査の結果、海外帰国組の圧倒的多数は、給与や待遇に決して満足しているわけではないことが判明した。彼らの収入は、「6千元未満」が28%、「6千元から8千元」が40%だった。
海外帰国組の最低初任給はわずか3500元という。海外留学にかかる高額の費用から考えると、この給与では全く割に合わない。各大学が海外留学生からより多くの超過収入を得ようとする傾向が高まってきており、留学生が負担する平均費用は30万元に達している。
26歳の林さん(女性)は、オーストラリアに6年間留学したのち、今年帰国して就職しようと決めた。林さんのELTS(アイエルツ、英語検定のひとつ)の成績はそれほど高くはなかったが、オーストラリア・メルボルンのモナシュ大学から合格通知を受け取り、金融学を専攻した。娘の専攻が卒業後に良い仕事に就く上で有利となると判断した家族は、思い切って自宅を売却して120万元を調達し、留学費用の一部に充てた。
林さんは、「帰国後、一刻も早く就職したい思いだった。オーストラリアで6年間も両親の仕送りで生活していたため、少しも待てなかった。留学前の同級生は皆、社会人になってすでに2、3年経っている」と話した。
だが、現実は彼女にとって極めて厳しいものだった。ある面接の際に、企業の人事担当者が、「とても現実的な質問をします。あなたは、希望している仕事を遂行する上で、どのような人脈的資源を実際に運用できますか?」と彼女に尋ねた。この質問は、彼女の自信を粉々に打ち砕いた。帰国したばかりの彼女にとって、人脈的資源など皆無だったからだ。
最終的に、林さんはある仕事を得た。クライアントとの交渉・仕入れ、意思疎通、営業が主な業務内容という。報道では、小林さんが就職する会社や初任給に関する情報については、言及されていない。(編集KM)
「人民網日本語版」2017年9月8日
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