世界的な格付け会社の米ムーディーズが24日、中国の国際格付けを「Aa3」から「A1」に引き下げると同時に、見通しを「ネガティブ」から「安定的」に変更したことが、瞬く間に議論を引き起こした。みたところ、ムーディーズの中国格付け引き下げには「3つの誤解」があり、今回の動きから中国が受ける実質的な打撃は、対外債務による資金調達への依存度が高い新興市場ほど大きくはないとみられる。(文:梅新育・商務部国際貿易経済協力研究院研究員。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
▽ムーディーズの1つ目の誤解:中国経済の安定回復の経済活性化政策への依存度を高く見積もりすぎ、その一方で中国の構造調整の取り組みと決意を過小評価していること。
ムーディーズはプレスリリースの中で、「……中国政府は引き続き政策による(経済の)活性化を進め、これによって経済の力強い成長という目標を維持しようと考えている。こうした活性化は経済システム全体の債務を増大させる。経済の力強い成長は政策による活性化への依存度が高いため、債務の増加が中国の信用指標をむしばんでいく」と断言した。だが客観的な見方をするウォッチャーによれば、ここ数年の中国における中央政府から地方政府まで各クラス政府が構造調整と革新をめぐって重ねてきた努力をみれば、中国で新興産業がわき起こり成長する様子をみれば、今年1~4月の市場の一般的な予測を大幅に上回る経済の「通知票」をみれば、ムーディーズのこのような断言のロジックが客観的事実に反したものであることはすぐにわかる。
▽ムーディーズの2つ目の誤解:中国政府の債務水準を高く見積もり杉、これに基づいて中国の債務の安定性について実際とかけ離れた謝った判断を下していること。
ムーディーズは地方政府の資金調達プラットフォーム企業、その他の国有企業といった機関の未償還債務をすべて政府の間接債務や偶発債務に計上し、これに基づいて中国政府の債務規模や見通しについて悲観的な評価を下している。しかし「中華人民共和国担保法」や「中華人民共和国予算法」といった関連の法律法規を読めば、ムーディーズのこうした分析のロジックそのものが中国の法律法規と食い違っていることがすぐにわかる。規定によれば、中央政府直属の国有企業でも、地方政府に属する国有企業(資金調達プラットフォーム企業を含む)でも、各企業が借り入れた債務はいずれも政府債務には入らず、政府が引き受ける義務は出資額の範囲を超えない。
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