すでに1990年代末に、中国政府は広東国際信託投資公司が借り入れた対外債務は国の債務ではなく、中国政府はこの対外債務について償還義務を負わないと宣言している。中国政府が手を出さず、同公司が破産した時には、130人を超える海外の債権者と国際金融市場全体が、中国の法律では国有企業の債務は中国政府の債務に属さないことが規定されており、中国政府は原則通りにこの法律の規定を実施するという道理をはっきりと理解した。それから20年近くが経ち、ムーディーズは当時130人を超える海外の債権者が「身を切るようにして」国際金融市場全体に知らしめたこの道理をまだ理解していないだろうか。
▽ムーディーズの3つ目の誤解:中国に対する姿勢といわゆる「高格付けの国」(米国や欧州などの西側諸国)に対する姿勢が実際の状況に合わないダブルスタンダードであること。
ムーディーズが上記の過大評価の方法を採ったとしても、中国の債務水準はいわゆる「高格付けの国・地域」でもみられる程度の水準だ。だがムーディーズは、一連の「高格付けの国・地域」は一人あたり平均所得の水準、金融市場の成熟度、体制のもつ実力がどれも中国より高く、こうした特徴により債務償還能力が高くなり、マイナス事態が発生しても蔓延のリスクは低いと論じたてる。こうした見方には道理があるようにみえるが、国際金融市場全体を転覆させかねなかったサブプライム問題や米欧の債務危機は一体、何年前のことだろうか。危機はどこで起こったというのか。中国だろうか、ムーディーズが「金融市場の成熟度や体制のもつ実力がいずれも中国より高」いとみる一連の「高格付けの国・地域」だろうか。
実際、過去のデータに頼り過ぎて相対的に見通しが不十分になったり、主観的な「体制要因」を重視しすぎたりして、ムーディーズをはじめとする国際的格付け機関が誤った格付けをしたことは一度や二度ではない。市場参加者はムーディーズがこのたび打ち出した格付けに過剰に反応する必要はない。まして中国の債務は95%が対内債務であり、中国国民の貯蓄率は引き続き30%前後を保っており、中国には3兆ドル(約335兆2200億円)規模の外貨準備残高と政府が保有するその他の流動性の高い巨額の資産があり、中国の債務がシステムを脅かす債務危機に発展することはないと保証できる。ムーディーズの格付けの変更から中国が受ける影響は、対外債務への依存度が高い新興市場エコノミーが受ける影響に遠く及ばない。
このようなわけで、市場は無定見に風向きを気にする必要はないといえる。(編集KS)
「人民網日本語版」2017年5月26日
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