▽中国のモバイル決済にはっきりとした都市・農村格差なし
興味深いのは、これまでのように新しい事物が農村部より都市部でより人気を集めていたのとは異なり、モバイル決済の動きには都市と農村の間に明確な格差はみられない。上記の「報告」によれば、16年は県の行政中心地のモバイル決済ユーザーが最多で19.6%に上り、省都都市は2位の19.0%、農村地区は3位で17.0%、地級市(省と県の中間にある行政単位)は4位で15.8%、直轄市は14.5%、郷鎮エリアは14.2%だった。
支付宝がまとめたデータからもわかるように、モバイル決済の浸透率では、内陸部の西蔵(チベット)自治区が90%で全国トップに立ち、以下、青海省、甘粛省が続き、沿海の省市を大きく上回った。西蔵は12年からモバイル決済の浸透率で首位を保ち、現在では、すべての行政村でモバイル通信システムの100%カバーが実現し、遠隔地の村落や広大な牧草地に暮らす農牧民はモバイル決済で生活必需品を手に入れている。
こうした現象について、対外経済貿易大学金融学院の高潔准教授は、「モバイル決済はクレジットカードのような審査がなく、ハードルが低く、ほぼ誰にでも開放されている。農村の携帯電話普及率は非常に高く、携帯が媒介するモバイル決済も一緒に普及してきた。今後はネット金融プラットフォームを利用して、農民のニーズによりよく応える金融商品や資産運用商品を開発することが、農村の金融サービス問題解決の潜在的な方向性でもある」と指摘した。
孟副所長は、「海外でモバイル決済の発展ペースが最も速いのはアフリカや中南米などのエリアだ。発展が遅れた地域は元々インフラが弱く、このため新しい技術や新しい変革を受け入れる際には適応しやすく、飛躍的発展を実現しやすい」と説明する。
▽キャッシュレス社会の実現はどれくらい先のこと?
孟副所長は、「私たちは今、発展成長の段階にあり、啓蒙の段階はすでに過ぎた。特にインターネットをベースとした決済は、ネットユーザーが多いため、すでに(利用者が)7億人を超えた。ネットをベースにした決済は多くのネットユーザーの消費習慣になっている。キャッシュレス方式を決済の主流にすることを目標にするなら、それほど長い時間はかからず、5年か10年で可能だと確信する。だがこの目標の実現には政府が指導を一層強化し、インフラ建設を推進し、革新と規範化とのバランスを取り、産業が健全に発展する環境づくりをし、競争が秩序をもって行われる産業局面を形成することが必要になる。市場のパワーは巨大だが、金融分野では秩序をより重視しなければならない」と述べた。(編集KS)
「人民網日本語版」2017年3月13日
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