世界銀行も日本政府に冷や水を浴びせた。世銀がこのほど発表した予測によると、日本経済の17年の成長率は0.9%で、16年の1.0%を下回った。このような予測を打ち出した理由として、量的緩和政策の効果が薄れてきたこと、財政活性化策により負債が山積みになっていること、構造改革が従来からタブーとされてきた領域をうち破れずにいることなどが挙げられた。
アベノミクスの不振も日本経済が好調とみなされない理由の一つだ。実際、アベノミクスがスタートした当初から、「短期的な経済成長の喚起に過ぎず、長期的にみれば、日本経済の構造に横たわる昔ながらの問題を改善するには至らない」との見方が出ていた。今、こうした見方が現実のものになりつつある。日本銀行(中央銀行)は一連の量的緩和政策を打ち出し、さらにはマイナス金利政策まで実施したが、今後のインフレ観測は振るわず、住宅ローンなど個別の分野で貸出が増えたほかは、企業の設備投資も個人消費もますます慎重になり、政策は「流動性の罠」に陥った。インフレ水準は16年3月にプラスからマイナスになり、デフレが進行している。
日本政府は経済を牽引するために、経済活性化プランを打ち出し、投資を増やして経済発展を導こうとしたが、これがかえって債務レベルを上昇させた。2月24日にスタンダード&プアーズが発表したデータでは、日本の債務水準はGDPの254%に相当し、ギリシャを抜いて世界最悪となっている。
円高が日本の輸出企業の利益を圧縮したため、企業からの税収で財政赤字を補填することができなくなり、こうした事態が今後の日本の債務水準をさらに上昇させるとみられる。さらに悪いことに、米国にトランプ大統領が登場して「米国第一主義」を掲げ、米国製品を買うよう奨励していることも、日本の対米輸出に一定の影響を与えることが予想される。トランプ大統領はさきに米国の貿易赤字を減らすと約束し、日本が非関税障壁や円安誘導により貿易で優位に立っているのは不公平だと名指しで批判した。トランプ大統領が対米貿易で黒字の貿易パートナーに何らかの措置を執り始めれば、日本も逃れることはできない。米国商務省のデータによると、16年の米国の貿易赤字は5022億5千万ドル(約57兆3268億2千万円)に上り、米国に貿易赤字をもたらした国の中で、日本は2番目に位置する。
経済の処方箋を求める中で、日本政府は一貫して国内消費の牽引をやめようとはしない。というのもGDPに占める個人消費の割合が60%前後に達するからだ。日本の政府と経済界は2月24日に消費喚起キャンペーン「プレミアムフライデー」を初めて打ち出し、サラリーマンが毎月最終金曜日に仕事を早めに切り上げ、消費活動を行うことを奨励した。商店やホテルはお得な商品や体験イベントを豊富に準備して対応した。だが企業が賃金引き上げに慎重で、賃金が大きく増える見込みはなく、世帯支出も切りつめられる中、消費支出を増やそうとしてもそれに応えるだけのエネルギーが不足している状況は誰の目にも明らかだ。
以上のようなことから、日本経済が実際に好転するにはまだ相当長い道のりを歩かなければならないとわかる。(編集KS)
「人民網日本語版」2017年3月6日
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