それだけではない。日本の失業率は3%前後で、最も高かった2002年でも5.4%にすぎず、欧州諸国の多くの8%以上を大きく下回っている。国民の生活水準も欧米先進国より高く、自然環境や大気の質は依然として世界最高の水準にある。日本は世界の産業チェーンのハイエンドに位置し、企業の技術革新能力も依然として一流である。ある意味では、過去の20年は日本にとって、改革・調整の20年、鍛錬の20年、制度革新の20年だったとも言える。
日本経済が長期的な低迷に陥ったのは主に、過去の日本において出現していた、自身の実力を超えたまやかしの繁栄を、徹底的に清算しなければならなかったためである。絶え間ない改革を経て、この20年の間に、日本経済の未来の発展を支える次の3つの重要な条件が形成された。第一に、空前のコストの低下と效率の向上。第二に、日本企業の国際化とコスモポリタン化。第三に、持続的で集中的な技術の蓄積。米国の要求に応じた円高へのプロセスで、賃金水準が低下しただけでなく、流通コストと公共費用も大きく下がり、日本は、世界で物価が最も高い国から世界有数の低コスト国に変わった。
また生産活動の大量の海外移転により、輸出拠点だった日本は、世界のビジネスの本部の機能を備えた本部経済へと転換している。企業の研究開発には多くの投資がなされ、日本の潜在技術の実力の向上が促されている。日本はここ20年余り、研究開発投資を十分に重視して来た。GDPに占める研究開発投資の割合は1990年から先進国で最も高く、2015年には3.5%に迫った。
こうした意味から言えば、「失われた20年」の大げさな宣伝は、日本人が自分の良いところをあまり表に出さないからだけとも言えない。自らの貧しさを対外的にアピールすることは、日本がこれまでも使ってきたやり口の一つだ。
「失われた20年」は実態とはかけ離れている。日本経済は過去20年余り、成長率こそ低かったものの、無駄のない充実した発展を実現した。バブル経済崩壊から20年経って、日本は依然として世界第3のエコノミーの地位を保ち、GDPもゆるやかな成長の傾向にある。国際的地位は相対的に低下していくが、低下の速度はゆるやかとなる。日本経済の実力、マクロ経済の動きをコントロールする政府の能力は、見くびるべきではない。(編集MA)
「人民網日本語版」2017年3月1日
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