過去を振り返ると、高度成長期と現在の日本経済を一様に考えることはできない。日本は1955年から1973年まで高度成長を実現し、欧米先進国に追いつくという目標を達成した。だが現在、この高度成長を生んだ客観的条件はほとんど完全に消え去っている。バブル期との比較はさらに不適切である。バブル経済そのものが、非理性的で危険な経済状態だったからである。
現在の日本の経済状况と比べるなら、バブル経済出現前の1984年の日本経済を考えるのがより客観的と言えるだろう。バブル期を除けば、当時と現在の株式市場の上下幅はそれほど大きくなく、地価もそれほど変わらず、労働者の個人所得はわずかに高まり、法人の収入はいくらか下がった。個人金融資産は大きく高まり、2017年は1984年のおよそ4倍となっている。
日本経済の「失われた20年」という主張の大きな理由の一つとされるのが、個人貯蓄率の低下である。だがこれは十分な論拠とは言えないだろう。日本の家計貯蓄率は確かに下落している。だが企業貯蓄率は伸び、国民貯蓄は全体としてまだ高い水準を維持している。企業貯蓄率は2002年以降、20%以上を保ち続け、「アベノミクス」実施後はさらに大幅に高まっている。国民の富裕度を示す一人当たりのGDPは依然として高まっており、経済の実力と国民の生活水準は欧米の主要先進国にまったく劣っていない。
改革と調整の20年
日本経済は1980年代末に隆盛を極めた後、衰退を始めた。だが日本は今でも、極めて裕福な先進国の一つである。2015年の時点で、日本のGDPは世界3位の4兆8千億ドル、一人当たりGDPも3万2480ドルで依然として世界のトップレベルにある。対外純資産は339兆3千億円(1元は約16円)で世界一、個人金融資産も1700兆円余りで世界一である。外貨準備高では、日本は2006年まで長期にわたって世界一の座を保ち、2006年以降は中国に抜かれたが、依然として第2位にとどまり、2015年9月には1兆2300億ドルに達している。日本にはまた、半年分の消費需要に応じることのできる石油備蓄、さらに大量のニッケルやクロム、タングステン、コバルト、モリブデン、バナジウム、マンガン、インジウム、白金、レアアースなどの戦略物資備蓄もある。これらは事実上、モノの形を取った外貨準備であり、戦略的な意義はより高いと言える。
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