中華日本学会、中国社会科学院日本研究所、社会科学文献出版社は5月31日、『日本青書:日本研究報告(2016)』を北京で共同発表した。青書は次のように指摘した。
2015年、日本経済の成長は期待を下回り、アベノミクスに対する疑問の声が日増しに高まっている。安倍内閣は新安保法を強引に推し進めた後、アベノミクスの「第三の矢」も発表した。安倍内閣は社会・経済発展戦略「一億総活躍」を打ち出したが、日本の政治、安全、社会、経済に対する国民の不安感を取り除くのは依然困難だ。
2015年、中日関係は改善基調を維持し、「低調変動」の特徴を呈した。上層部は対話を保ち、各界の交流は徐々に回復した。だが依然として歴史認識、領土、東中国海の海洋権益をめぐる紛争など両国間には障害が存在し、政治的相互信頼は脆弱で、関係改善の基礎は不安定だ。
2016年を展望すると、日本の内政と外交は参院選の影響を直接的に受ける。安倍首相は東中国海と南中国海の問題で対中強硬姿勢を継続する可能性が高い。同時に、対中経済協力の回復と強化を求める圧力も一層高まる。世界経済が互いに融合する中、各国・地域の経済成長への外部環境の影響は強まっている。全体的に見て、低失業、低インフレ、低成長が日本経済の今後の常態となる。
■2016年、安倍首相は東中国海と南中国海の問題で対中強硬姿勢を継続
2015年に安倍内閣が新安保法の国会での可決を強行に推し進めたことで、日本の安全保障・防衛政策は「平和憲法」の制約を大幅に突破し、第2次大戦後最大の変質を遂げた。自衛隊の海外出兵の敷居は低くなり、海外での武力行使の危険性が高まった。
2015年は日本の敗戦・降伏70周年だった。歴史観を広く問題視される安倍内閣は国際的圧力を解消するため、自ら外交攻勢をかけて、平穏に関門を乗り切ろうとした。中日関係は立て直し基調を継続し、上層部は対話を保ち、各界の交流は回復した。だが依然として関係改善の基礎は不安定で、障害が存在し、地域・多国間分野で両国間の競争と対立が増加した。日本は南中国海に大仰に介入し、南西の防衛を強化した。多国間および第三国の各分野で中日間の角逐は激化した。