経済の下振れリスクに対しては、人民銀行は様々な通貨政策ツールを総合的に活用することによって、合理的かつ十分な流動性を維持し、伝統的な通貨政策メカニズムを改良し、外部経済あるいは資本流動が中国のマクロ経済政策に及ぼすマイナス影響を最低限に抑えることができる。
▽2016年の中国通貨政策を解読
全体的に見て、中国は今年も引き続き穏健な通貨政策を実施し、増量を最適化し、適度な柔軟性を保ち、金融改革開放を推進し、金融リスクを防止・解消し、金融サービスのレベルを向上し、より効率的で持続可能な経済発展を促進していく。
流動性の面では、人民銀行が使う通貨政策ツールには、定期的・構造的という特長がある。現在、人民銀行は主に短期流動性オペ(SLO)、常設貸出ファシリティ(SLF)、中期貸出ファシリティ(MLF)および担保補充貸出(PSL)などのツールを使って流動性を調節している。これら4つのツールは近年の人民銀行の通貨政策調整ツールの革新だ。例えば今年第1四半期、人民銀行は頻繁に「MLF+リバースレポ」方式を通じて市場に流動性を注入した。
実質金利の面では、人民銀行は公開市場操作(オペ)の頻度を高めることでマネーマーケットの金利を安定させ、通貨政策の連続性を保っている。これはマネーマーケットの金利を基準金利付近に維持するのに役立ち、公開市場操作の妥当性・有効性を高めることができる。人民銀行はこのほか、「金利コリドー(回廊)」メカニズムの模索を積極的に進めている。これは、銀行に「貸付ファシリティ金利(上限)」「預金ファシリティ金利(下限)」をそれぞれ提供し、通貨政策の枠組みの数量型から価格型への転換を促進するというものだ。また、価格レバレッジを十分に活用して市場期待を安定させ、企業の融資コストの低下を後押しし、金融の実体経済へのサービスの効率を高めている。
信用貸付の面では、人民銀行は貸付資産担保再融資という革新的な手段を用いて、銀行の遊休資産を活用し、市場の流動性を高めている。この革新により、人民銀行のベースマネー発行と銀行の貸付を密接に結びつけることができる。人民銀行はこのほか、内部格付手法(IRB)の試行の拡大、マクロプルーデンス政策の枠組み改善などを通じて、小零細企業、「三農問題(農村、農業、農民)」、バラック密集地の改造といった国民経済の重点分野や脆弱な分野への金融機関の貸付を増やし、融資コストの引き下げを図っている。(編集SN)
「人民網日本語版」2016年5月17日