科学技術の進歩と経済活動の発展・変化にともない、今後はデジタル通貨が徐々に現金通貨に取って代わることが予想される。中国人民銀行(中央銀行)はこのほど、デジタル通貨の発行・流通システムの構築は、金融のインフラ建設、経済の質・効率向上とバージョンアップの推進にとって、とても必要なものであるとの見方を示した。すでに専門の検討チームが発足し、人民銀発行のデジタル通貨を一日も早く打ち出せるよう研究が進められている。専門家は、「デジタル通貨は必然的な流れだが、実現は容易なことではない。将来的に紙幣に代わって流通し発行されるようになるには、順序を追って一歩ずつ進む長いプロセスを経なければならない」と指摘する。「人民日報」海外版が伝えた。
▽デジタル通貨はなぜ必要?
「何年か後には、現金は存在しなくなるかもしれない」という新たな流れが、人々の慣れ親しんできた考え方をひっくり返した。だが通貨の本質ということを考えると、通貨がもつ契約の性質がさまざまな表現形態を決定付けるのであり、歴史的段階によって通貨が変化するのは不思議ではない。
目下、電子金融の誕生・発展により、現金を使用する場面がどんどん減り、紙幣の欠点が露わになってきた。中国人民銀行(中央銀行)の周小川総裁は、「紙幣は技術のウェイトが低く、安全性やコストの観点からみると、新技術、新製品に取って代わられるというのが大きな流れだ。人民銀が発行するデジタル通貨は今は主として現金に代わるものであり、これまでのような紙幣の発行・流通にかかるコストを削減し、利便性を向上させるものでもある」と話す。
人民銀関連当局の責任者は、「デジタル通貨の発行に成功すれば、さまざまな便宜がもたらされる。これまでのような紙幣の発行・流通にかかる莫大なコストが効果的に削減でき、経済取引活動の利便性と透明性が向上する。マネーロンダリングや脱税などの違法な犯罪行為を減少させ、通貨の供給と流通に対する人民銀のコントロール力を引き上げ、経済社会の発展をよりよく支援し、金融包摂の全面的実現を助けることができる。また新しい金融インフラを建設し、決済システムをさらに改良し、決済・清算の効率を向上させ、経済の質・効率向上とバージョンアップを推進する上でプラスになる」などと利点を上げた。