野党側も来年の参議院選挙を局面逆転のチャンスととらえており、各政党はこれを大きく重視している。野党の最大目標は、参議院選挙を通じて「ねじれ国会」の局面(衆議院は与党が多数、参議院は野党が多数の状態)を作り出し、与党による審議をボイコットし、与党の制定する法案がスムーズには通過しないようにし、与党の戦略を乱し、与党の内輪もめを引き起こし、首相の退陣を実現することである。
このため安倍首相にとっては、日本の政治は予想しがたい波乱を含んでおり、今後10カ月は慎重に事を進める必要がある。少しでも気を緩め、政治的なミスを犯せば、野党がこぞって攻撃する標的になり、参議院選挙で受け身の局面に置かれることとなる。
第二に、日本経済を見ると、実施から3年近い「アベノミクス」はそれほど大きな効果を上げられていない。今後3年は安倍首相にとっては、「アベノミクス」の舵をどの方向に向け、日本経済の景気を根本から回復し、日本の幅広い民衆の支持を勝ち取るかが、真剣に答えるべき難題となっている。
最新データによると、日本経済は2015年第2四半期、年率換算で1.2%のマイナス成長となった。東証株価指数は、8年ぶりにつけた高値から1カ月以内にいっきに15%以上下落した。「アベノミクス」に対する日本の民衆の信頼は低下しており、「日本経済新聞」が8月31日に発表した調査によると、安倍首相の経済政策を評価する人は37%、評価しない人は45%だった。
「アベノミクス」が実際にどれだけ効果があるのかには疑いの声が多い。日本の「東京新聞」の8日の報道は非常に的を得たものだった。これによると円安によって中小企業は原料の輸入コスト増大の苦境に陥り、一般民衆の賃金の上昇幅は物価の上昇に追いつかず、さらに消費税の8%への引き上げや食品価格などの上昇で消費者の負担は高まっている。生活保障補助を受けている家庭の数は過去最高を更新し続けており、人々の経済格差が広がり、二極分化が激しさを増している。
もしも今後3年で「アベノミクス」の各措置が「打ち出すのは易しいが実施は難しい」という段階にとどまり、庶民の受ける恩恵が少ないまたはまったくないという状態が続けば、「アベノミクス」のマイナス効果が明らかになっていくことだろう。来年の参議院選挙でも、もしも一般有権者が「アベノミクス」が自身に利益をもたらさないと判断すれば、「アベノミクス」は安倍政権のポリティクスにも影響を与え、参議院選挙では、安倍首相が「アベノミクス」によって足を取られる状況が出現することも否定できない。