野口氏は、「この問題を緩和させるには、社会福祉や国家政策のほかに、地域の支援をより強化しなければならない」として、「医療や年金、住宅などの生活の基本的な条件と同様、高齢者の心理および精神上の満足感や充実感も重視されなければならない」と語る。
具体的に言うと、地域は高齢者にとって感情を寄せることができる場所だ。ここには、高齢者が慣れ親しんでいる隣近所付き合いがあり、高齢者に共感や帰属感をもたらすことができるほか、高齢者はその中で生活の楽しみをより見つけやすくなる。地域の中で、高齢者は決して完全に介護される側ではなく、できる範囲内で、自分のことを自分でできる状態にあり、地域の中で貢献したり、能力を発揮したりすることができる。このため、社会の介護保険の負担を軽減することができるだけでなく、高齢者の晩年の生活の質を高め、高齢者の依存心や社会からの疎外感を軽減させることができる。
現在、よくある誤解は、世の中の人はあらゆる高齢者が世話や助けを必要としていると思っていることだ。しかし実際は、自分のことを自分でできる一部の高齢者は完全に社会で積極的に自分の能力を発揮することができる。地域の支援を強化することは、高齢者が安心して生活できる地域を実現させるだけでなく、高齢者が積極的に社会にフィードバックする姿勢を若い世代に見せることで、自分の将来の老後生活に対するあこがれを抱かせ、社会全体の介護体制や環境を構築することにも役立つ。