米側はAIIBに対して冷たく、国際世論において自らを孤立させ、守勢に立たせた。これは「策士策に溺れる」である。米側の表面上は立派な言い分の背後にあるのは、深思熟考した戦略的計算であり、国際金融分野さらには地政学的状況における自らの主導的地位に対してAIIBが挑戦、衝撃となることへの懸念だ。さらに深層の原因は、米側が中国の戦略に対して猜疑心を抱き、中国に対して多くの懸念を抱いていることにある。米側は習慣的に「唯一の超大国、単独覇権」の視点から国際問題を考えており、何事も主導権を握ることから始まり、自らの主導的地位に有利か否かで立場や姿勢を決定する。中国関連であれば、何事でもまず疑問符を打つ。
実際には中国側の推し進めるAIIBは「1ベルト、1ロード」(シルクロード経済ベルトと21世紀海上シルクロード)同様、協力・ウィンウィンを提唱し、包括性と開放性を強調している。中国側はAIIB設立の先頭に立っているが、排他的利益は追い求めておらず、ましてや反米の先頭に立つものではない。皆にとって良い事こそが真に良い事だと中国側は真に認識している。このような外交戦略はより持続可能性を備え、より引きつける力を持つ。また、英国のような米国の同盟国がAIIBに参加したのは米国を困らせるためでは決してなく、ましてや米国に反対するものでもないのは明らかだ。共通利益(当然反米ではない)が、最終的にこうした国々をAIIB「コミュニティ」に参加させたのだ。
米国が自らを孤立させ、守勢に立たせたことで、中国が得意満面になることはない。中国の追い求めているものは元々協力・ウィンウィンであり、これは大国の気概と度量だ。中米関係は順風満帆ではなく、AIIBをめぐるようなふらつきは今後も起きるだろう。米国内にもこれについて考え直す声がある。米側が教訓を汲み取り、中国がリードする国際的事柄に対して、たとえ参加せずとも、安易に反対はせず、ましてや何かと妨害したり、失敗させようとはしないことを希望する。いつか相互調整・適応を経て、中米は相互信頼を深め、協力を拡大し、大国間の歴史の悲劇を真に回避する。これは中米の新型の大国関係構築への啓発ではなかろうか。(編集NA)
「人民網日本語版」2015年4月1日