預金準備率の全面的な引き下げは、12年5月以来約3年ぶりのことだ。全面的引き下げとターゲットを絞った引き下げが同時に行われるのは、ここ数年で初めてのことでもある。
清華大学経営学院の李稲葵教授は、「人民銀の今回の準備率引き下げの規模は予想されていたよりも大きく、時期も早い。その主な原因は、最近の国内での実質貸出金利が上昇を続けていること、全体的な資金不足、PMIなどの重要な経済指標の軒並み低下などだ。今回の引き下げは予想されたことで、経済に目立った問題が生じる前に行われた先見的で予防的な措置だといえる」と述べた。
▽全面的準備率引き下げは金融政策の方向転換ではない
3年ぶりに準備率を全面的に引き下げたことは、これまでの安定的な金融政策が方向転換することを意味するのだろうか。専門家の間では、「このたびの準備率引き下げ幅は小さく、金融政策の方向性の転換とみなすことはできない」との見方が一般的だ。
人民銀も、「引き続き安定的な金融政策を実施し、緩和と引き締めのリズムを適切に保ち、資金貸出と社会的融資の規模が安定的かつ適切に拡大するよう誘導する」としている。
▽準備率引き下げは人民元の持続的な値下げを推進するか?
宗副所長は、「人民元の方向性は全体としては値上がりで、一時的には値下げの道を歩む。将来的には人民元はさらに国際化して、全体では小幅に値上がりし、安定を保つとみられる。今年の値下げ幅は最大でも2%にとどまる」と予測する。
魯チーフエコノミストは、「15年の米ドルの上昇幅が5%を超える見込みであることを考えると、元の対ドル値下げ幅がドルの上昇幅を超えることができなければ、元の実質有効レートはさらに上昇する危険がある。そうなれば国内の経済的な困難を緩和させる力が限定的なものとなる」との見方を示す。
▽A株は再び値上がりする 春節市場に対応
中国交通銀行の洪◆(「さんずい」に「景」に「頁」)董事総経理(取締役社長)兼チーフストラテジストは、「予想に先立って準備率を引き下げて5千億元の誘導性を開放し、人民銀は利下げや準備率引き下げの予想を誘導した。今回の準備率引き下げは春節(旧正月、今年は2月19日)の流動性需要に対するリスクヘッジであり、金融市場からみれば、海外での株価先物指数は5ポイント上昇したが、時間的に前倒ししたことで、株式、債券、大口商品などを推進する作用を果たすことになる」と分析する。(編集KS)
「人民網日本語版」2015年2月6日