英国紙「フィナンシャル・タイムズ」の報道によると、ハリウッド映画の名作「オズの魔法使い」、「007」シリーズ、「ホビット」シリーズなどをうち出したメトロ・ゴールドウィン・メイヤー(MGM)は、今や豊富な資金を持つ投資家が集まった財団、すなわち中国の財団の買収ターゲットになっている。たとえば大陸企業の万達集団と復星集団などは巨額の現金を手にしている。万達はこのほど香港で上場を果たし、40億ドル(1ドルは約119.8円)の資金を調達したばかりで、復星にはさまざまな財源があるほか、傘下のポルトガルの保険会社カイシャ・セグロ・エ・サウデの財力も活用することが可能だ。中国新聞網が伝えた。
両集団は映画産業に興味をもつだけでなく、あらゆる企業の買収に興味を抱いているようにみえる。既存の事業との相乗効果がまったくなくても意に介さない。両集団は目もくらむようなさまざまな業務を手がけ、現在は合併買収(M&A)の動きを加速させている。こうして海外M&Aを大規模に展開する中国企業の仲間入りをした。
身売りする企業があれば、中国企業が潜在的な買い手になる。これまでは最初に名前が挙がる買い手はプライベート・エクイティ・ファームだったが、今は中国企業がこれに取って代わった。
この変化には驚くばかりだ。調査会社ディールロジックがまとめたデータによると、2014年に大陸部のグループ企業が行った海外M&Aの金額は700億ドルに迫った。一方、外資系企業による中国企業のM&Aは255億ドルにとどまり、ピークだった2010年の416億ドルを大きく下回った。
仲介業者は相手の意図を読みとって、中国企業の潜在的な買収ターゲットのリストをすぐさま公表する。かつて民間企業への移行が待たれる中国企業のリストを発表していたのと同じことだ。するとその他の人は、買収をしようとする企業に先立ってターゲット企業の株式を買い入れ、その債券を売り出す。買収のうわさが確実になれば、ターゲット企業の評価が低下することは避けられない。
プライベート・エクイティ・ファームは今では傍観者だ。財務状況の分析結果から、ファームが注目するターゲット企業の価値が高騰して、合理的な水準を超えてしまったことを知ったからだ。ファームに代わりM&Aの戦場に乗り出し取引を進めているのは、株価が上昇し、営業収入の伸びが停滞した企業たちだ。世界規模で成長や復興が年初の希望を下回っても(その可能性は高い)、全体としてみれば2015年は国境を越えたM&Aが活発に行われる年になることに疑問の余地はない。
中国企業はM&Aでますます重要な役割を演じるようになるだろうし、特に米国市場で重要な役割を演じるようになる。こうした予測をうち出すのにはそれなりの理由がある。映画産業には中国の現状がよく反映されている。それは都市化のレベルが向上し、娯楽作品に飢えており、娯楽に見合った消費力があるという現状だ。ますます多くのM&Aを招く要因は、これまでよりももっとはっきりとした巨大な消費層の需要であり、「胃袋」の大きな国有企業の需要だけがもはや需要ではない。それに国有企業が注目するのは、アフリカから中南米に至る新興市場における自然資源の採掘産業であることが多い。
未来の取引を推進するのは、民間分野の参入者や掲げる目標に政治的な色合いが薄い新たな参入者である可能性が高い。これはつまり、こうした存在が欧州市場や米国市場でより多くの投資や買収を行い、ターゲットは価格が合理的な企業および最高レベルのブランド企業になるということを意味する。人民元建てで計算すれば海外でのM&Aコストが安く済むため、人民元の相対的な強さがこれらの参入者に利益をもたらすことになる。(編集KS)
「人民網日本語版」2015年1月8日