「日産自動車・動力技術円卓フォーラム」の開催がなければ、ほとんどの中国メディアは、世界の多くの国際自動車メーカーのトランスミッション供給源を日産が制御していることを知らずにいただろう。日産は中国でも多額の収益を上げていた。「中国青年報」が伝えた。
自動車のトランスミッションの世界3大メーカーの1つであるジヤトコ社は、アイシン精機社と同様、背後に神秘のベールに包まれたボスを持っている。アイシン社の22.2%の株式はトヨタ社が持ち、後者は前者の大型顧客であるだけでなく、事実上の制御権を持つ。一方、ジヤトコ社の株式は日産が保有し、連続可変トランスミッション(CVT)を日産に供給しているだけでなく、フォルクスワーゲンやルノー、三菱、マツダなどの顧客にオートマチックトランスミッション(AT)を供給している。
中国のトランスミッション市場におけるアイシン社の独占については早くから言われてきた。ほとんどすべての合弁自動車メーカーと国産メーカーはアイシン社の顧客である。とりわけ国産メーカーの90%以上のATはアイシン社製である。
アイシン社と比べると、ジヤトコ社の技術の強みはCVTであり、世界のCVT市場で半数を超える市場シェアを持っている。だがアイシン社のATの企業結合効果により、ジヤトコのCVTはこれまで普及して来なかった。CVT路線を貫いてきたジヤトコ社がここ数年、自社のATも合わせて世界に売り込み始めたのはそのためだ。
世界のAT市場は3つの企業によって制御されている。日本のアイシン精機とジヤトコのほかには、ドイツのZF社がある。ZF社の技術力は強大で、その8ATはBMWやアウディなどの自動車メーカーに重宝されているが、市場における力はアイシン社と同格とは言えない。インテルとAMDとの戦いと同じく、長年の競争を経た今も、アイシン社はZF社の一段上にある。
ジヤトコ社に対する日産の制御権の問題について、日産(中国)投資有限公司の三崎匡美・副社長は、「ジヤトコ社は中国の自主ブランドに対してATを供給し、東風日産に対してCVTを供給している。中国の自主ブランドにせよ合弁ブランドにせよ、私達が提供する製品に対する規格の要求は異なる。ジヤトコ社は、異なるメーカーの異なる需要に基づいて、相応したトランスミッションを提供する。ジヤトコ社の商品提供については、日産は干渉しない」と述べている。
三崎副社長はさらに、中国で進められているATの標準化について、日産とジヤトコがCVTの標準化の制定に共同で参加したことを説明した。この過程では、中国側のメーカーの一部も参加している。「私達は、中国側の企業との意思疎通において、製品そのものの信頼性をいかに高めるかに重点を置いて議論した」