胚胎の免疫寛容メカニズム 中国人科学者が発見
中国科学技術大学生命学院・ミクロサイズ物質科学国家実験室の研究により、胚胎の免疫寛容メカニズムが発見された。妊娠の過程において、ナチュラルキラー細胞が母体と胚胎の「衝突」を調節するという。同研究の関連成果はこのほど、「米国科学アカデミー紀要」および「ネイチャー・コミュニケーションズ」に掲載され、ナチュラルキラー細胞の臨床生物治療にとって重要な意義を持つと評価された。人民日報が伝えた。
中国科学技術大学の研究者によると、妊娠の過程において、母体と胚胎の間には大量の特殊なナチュラルキラー細胞が存在する。その殺傷能力は低いが、ガンマ型インターフェロンを生成し、胚胎の遺伝子の不一致により生まれる炎症細胞Th17の活動を抑制し、その作用を正常な生理範囲内に収める。これにより母体が胎児に拒絶反応を起こすことを防ぎ、保護性免疫作用を発揮する。
研究チームは極小RNAチップ技術を使用し研究を進めたところ、胚胎の局部のナチュラルキラー細胞に、極小リボ核酸分子miR-483-3pが含まれることを初めて発見した。同分子の胚胎のナチュラルキラー細胞における含有量は、一般的なナチュラルキラー細胞の含有量の1万倍弱に達する。この差により、胚胎におけるナチュラルキラー細胞は成長因子IGF-1を分泌できず、殺傷能力を失い、炎症細胞を抑制する「特効薬」のガンマ型インターフェロンを分泌し、免疫調節機能を維持する。(編集YF)
「人民網日本語版」2013年3月26日