<企画>GSKの増賄が摘発され、監督管理システム強化が急務
公安部(公安省)は7月11日、湖南省長沙市、上海市、河南省鄭州市などの公安機関を統一的に組織して、英国の製薬大手グラクソ・スミスクライン(GSK)の中国法人・葛蘭素史克(中国)投資有限公司の上級管理職の一部が重大な経済犯罪を犯した疑いがあるとして、法律に基づき立件に向けた調査を行ったことを明らかにした。
同公司は大手の多国籍製薬企業であり、ここ数年間の中国での経営期間中、製品の販売ルートを開拓し、販売価格を引き上げることを目的として、旅行会社などのルートを通じ、直接的な賄賂やプロジェクト協賛などのさまざまな形式で、政府関連部門の担当者、一部の医薬品の業界団体や基金会、病院、医師などに大規模な贈賄を行ったという。また同公司には増値税(付加価値税)専用の虚偽の伝票を使用した、旅行会社を通じて偽の伝票を発行した、虚偽の普通伝票を発行して現金を詐取したといった犯罪行為があった。>>>詳細へ
【事件の進捗】
■役員が逮捕された
英製薬大手のグラクソ・スミスクライン(中国)投資有限公司の4人の役員(趙虹燕、梁宏、黄紅、張国維)が深刻な経済犯罪を犯したとして、法に基づき調査を開始した。4人の役員は刑事強制措置を受けた。>>>詳細へ
■GSKが声明文を発表
この事件に対し、グラクソ・スミスクライン(GSK)の公式サイト(英語版)と中国現地法人の公式サイト(中国語版)は15日、中国語・英語の声明文を発表した。同声明文は、「企業内の一部社員と第3者機関が、詐欺と非道徳的行為により非難を浴びていることについて、深い懸念と失望の意を表明する。中国政府の汚職根絶の決心を支持し、発生した件についてお詫びを表明する。当社は政府の関連部門の最新状況に対する調査に全力で協力し、調査によって導き出された結論に基づき、すべての必要な行動をとる」とした。>>>詳細へ
■公安部、GSK本社側と会見 GSK代表が謝罪
公安部関連部門の関係者は北京で、グラクソ・スミスクライン(GSK)の新興市場プレジデントのアッバス・フセイン氏らと会見した。
アッバス・フセイン氏はGSK本社を代表して謝罪を表明し、「本社は中国政府の汚職撲滅の決意と行動を完全に支持し、中国警察当局の調査を全力で支援し、これに協力する。これまでの事業と業務フローを積極的に改善し、中国の患者により良い治療を提供するため貢献したい」と述べた。
GSKの本社は会見後、再び声明を発表した。>>>詳細へ
■賄賂に関わる旅行会社が営業停止処分に
GSKによる贈賄事件において、上海臨江国際旅行社は偽造領収書発行などの違法活動に従事していた疑いがあり、巨額で深刻な影響を及ぼすことから、公安部門が調査を進めている。上海市、区観光管理部門、観光法執行部門は法に基づき同旅行会社に対して、観光事業の停止、社内の自主調査、関連する調査処理への協力を命じた。>>>詳細へ
【事件の波紋】
■GSK 新たな経営モデルを導入、薬価引き下げを検討中
英国や米国などの国では、過去に行き過ぎた経営販売方法に批判が寄せられたため、GSKは業務経営モデルを適宜調整してきた。GSKの上層部は現在、他国で進めている改革措置を中国での経営モデルに導入するにはどうしたらよいかを検討中だ。
また販売担当者と処方せんとが連動するマージンを引き下げて、中国市場での薬価引き下げも検討中。>>>詳細へ
■中国 多国籍企業の商業賄賂多発、監督管理システム強化を
多国籍企業と進出先国との関係は非常に複雑で、往々にして矛盾がありつつ協力は進めるという形を取る。多国籍企業は自身の利益を出発点とし、世界的規模で企業の経営戦略を定め、最大の利益を勝ち取ろうとする。ここ数年、一部の多国籍企業は市場での強みや技術面の優位性を利用し、代理人を通じて操作を行い、発展途上国の監督管理システムのすきをつくことに努めている。商業賄賂だけでなく、多くの多国籍企業に税金やプロジェクト入札をめぐる問題行為がみられる。
この現状に基づき、多国籍企業の経営活動に関わる法律・法規を早急に整備し、法執行をさらに強化し、自国に進出してきた多国籍企業に対し主体的にリスクを提示し、自国の法律・法規を十分に理解させる必要がある。多国籍企業の出身国の政府も、自国の対外投資企業に対する監督管理と審査を着実に強化しなければならない。>>>詳細へ
(編集JZ)
「人民網日本語版」2013年7月25日