中国・EU貿易には広い視点が必要
【中日対訳】 ドイツ政府とドイツ経済界は19日、中国製太陽電池製品に反ダンピング関税を課すとのEUの提案に反対し、交渉と対話を通じてEU・中国間の貿易紛争を解決するよう次々に求めた。
これに先立ち、欧州の太陽光発電企業1000社近くがこの決定について公開書簡で「EUの太陽エネルギー産業の発展を著しく妨げ、EUの太陽電池バリューチェーン全体を損ねる」と指摘した。スイスの研究所の報告も「中国製太陽電池製品に対する『反ダンピング、反補助金』措置によって、ドイツだけで3年以内に最多8万4700人の雇用が失われる恐れがある。これによってドイツは欧州で最も深刻な影響を受ける。EU全体では24万2000人の雇用が失われる恐れがある」と指摘。「制裁関税は欧州の太陽エネルギー設備メーカーに何らかの優勢をもたらすかもしれないが、それによって創出される雇用は他の分野で失われる雇用の5分の1に過ぎない」とした。事実は明らかだ。もしEUが計画通り6月初めに中国の太陽電池産業に制裁を発動した場合、中国企業だけでなく、欧州の企業も大きな損害を被るのだ。
今年第1四半期、ユーロ圏のGDPは0.2%、とEUのGDPは0.1%減少した。ユーロ圏の失業率はすでに12%を突破し、青年失業率はさらに高い24%に達している。内部が苦境に陥っている時に、問題を外部に転嫁するのは、賢明でない保護主義のなせる業だ。
中国太陽電池産業に対するEUの制裁はまだ最終決定は出ておらず、加盟国の意見を聞く段階にある。中国・EU間の今回の貿易紛争では制裁に反対しているのも、制裁を主張しているのも、ドイツ企業が中心だ。こうした民間企業には各々理由がある。だが欧州委員会は一部の利益に左右されるのではなく、より広い視点で中国・EU貿易全体を見極め、理性の声に耳を傾けるべきだ。(編集NA)
「人民網日本語版」2013年5月22日