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石原信雄氏 |
日本の古参官僚、現在87歳の石原信雄氏は1987年から1995年まで内閣官房副長官を務め、7つの内閣を補佐した。このほど単独インタビューに応じた石原氏は「日中関係が谷底にあることは残念だ。日中両国の為政者が理解を強化すること、特に頻繁に交代する日本の指導者がもっと相手の立場に立って問題を考えることを希望する」と表明した。石原氏は在任中、政府各部門の事務次官の意見を集約する仕事を担っていた。日本ではこうした官僚は政策の具体的執行者であり、内閣や与党の交代によって国家公務員としての地位が変わることは通常なく、内外政策に対して中立的で持続的な考えを持つ。したがって「良識ある日本人なら誰もが『村山談話』に同意する」「日本の民間は日中関係改善を待ち望んでいる」といった日中関係に関する石原氏の発言は、日本の官僚の主流の声をある程度代表している。環球時報が伝えた。
環球時報:石原氏が政治機構に身を置いていた1980、90年代と比べ、現在の中日関係は過去30年近くで最悪の谷底にあるか?
石原氏:最近、日中関係が谷底にあることは残念だ。特に日中関係が非常に良好だった時代を経験した私のような者にとっては、大変見たくない状況だ。宮沢喜一政権期の1992年、中国政府が両国民共に懸念を抱く中でも未来志向の姿勢で天皇の訪中を要請し、日本側も積極的に歩調を合わせ、最終的に実現して、2千年余りの日中交流史における一大ハイライトとなったことを私は覚えている。
日中の歴代指導者が培ってきた両国の友好的雰囲気が今日破壊されたのには、大きく2つの原因があると考える。まず、新指導者が相手側の感じ方を理解できず、日中双方に意思疎通と理解が不足している。特に日本側は首相が頻繁に交代し、安倍晋三首相は二度目の登板だ。為政者はもっと相手の立場に立って考えてもらいたい。そうしてこそ理解を深めることができる。
私はすでに退官しており、日中関係がどのような段階にあるかを判定しても大きな意味はない。だが私は、経済、文化、安保分野で両国は関係が最も緊密な国であり、各々の主張によって関係が硬直化している現状は双方共に見たくないものだと考える。どの国にも様々な意見の人がいる。友好を主張する人もいれば、対立を望む人もいる。様々な主張の調整を図り、こうした調整を通じて他国との友好関係を実現することが指導者の役割だ。一国の指導者の知恵が試される時でもある。
「村山談話」に対する安倍首相の理解が最近、各界で議論の的となった。村山内閣は私が政治機構に身を置いた最後の内閣だ。日本による植民地支配を認め、侵略がアジア各国の人々に与えた極めて大きな傷についてお詫びする村山首相のやり方が、当時の三党連立政権の同意を得たこと、戦後50年にあたって日本人のあるべき反省や認識と一致していたことを私はよく分かっている。良識ある日本人なら誰もが「村山談話」に同意する。
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